著者
褚 宏啓 一見 真理子 日暮 トモ子
出版者
教育史学会
雑誌
日本の教育史学 (ISSN:03868982)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.135-142, 2011

教育の近代化とは、教育形態の変遷に伴う近代性の不断の進展の歴史過程を指す。教育の近代性も社会発展につれて変化が生じている。というのも、ある種の近代性は不断に発展し深化しているし、新たなタイプの近代性、例えば教育の生涯化・国際化・情報化等が生じているからである。教育の伝統と近代性は必ずしも相対立はしないが、両者は相互に影響しあっている。教育近代化の先行者と後発者は同様ではない。教育の後発効果にはプラス面もマイナス面もあるが、前者を強め後者を弱めることに注意しなければならない。人間の発達と国家の発展は、教育近代化の2つの基本的な価値基準であり、教育の近代化は、人間の全面発達・人間の近代化・経済の近代化・政治の近代化などに貢献すべきである。世界の教育近代化過程においては中国・日本と韓国のいずれもが後発者に属している。ただし日本は「後発者の中の先行者」に属し、最前線を歩んだ。中国と韓国の近代化のプロセスは挫折に満ちていたが、現在はともに新たな順調な発展期に入っている。