著者
横山 伸 井上 梓 北澤 沙池加 村上 奈月 長澤 祐美 長瀬 緑 西 綾子 高橋 あつ子 内山 ちえみ 上野 順子 山本 詠子 杉山 英子
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.37-44, 2005-12-27

日本のマンガの持つ内容の広さ、豊かさ、洗練性および画像表現の自由度は、読む者のボディイメージに強い影響を与える可能性がある。マンガにおける若年女性の体形の描かれ方に関して、ジャンル別(男性向け一女性向け、成人向け-子供向け)の体形の特徴、物語上の役割や人物の性格が体形に及ぼす影響、作者の性別と作品のジャンルの関係について検討した。描かれた身体像は、現代日本の若年女性の標準体形と比較して、若年女子短期大学生らの視点から評価した。男性向けのマンガではやや細いウェストと大きなヒップを持った若年女性が描かれているのに対して、女性向けのマンガではウェスト・ヒップ共に細い若年女性が描かれていた。作品中の若年女性の役割や性格と体形の関係では、女性誌において女性性や母性がいずれも細い身体像と結びつき、また依存性が太いウェストと結びついていた。男性向けのマンガを男性が画いている一方、女性向けのマンガは女性が画いていた。これらの結果から、マンガにおいては非現実的な「やせ理想像」が、女性読者を対象として、女性マンガ家により作られていることが示された。