著者
武井 秀史 西井 鉄平 前原 孝光 角田 幸雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.183-187, 2004-06-20
参考文献数
14

背景.小細胞肺癌や肺カルチノイドが異所性ACTH産生によりGushing症候群を引き起こすことはよく知られている.しかしながらGushing症候群を呈した胸腺カルチノイドは報告が少なくまれである.症例.58歳女性.満月様顔貌,下腿浮腫,低K血栓の精査のため入院.血中ACTH, cortisolの高値を認めGushing症候群と診断された.画像上前縦隔に2cm大の腫瘍を認めた.異所性ACTH産生縦隔腫瘍の疑いで胸腔鏡下腫瘍切除術を行った.病理検索で胸腺spindle cell carcinoidと診断した.免疫染色でACTH陽性であった.術後速やかに血中ACTH値は低下し臨床症状も改善した.結論.非常にまれなCushing症候群に関連した胸腺spindle cell carcinoidを報告した.