著者
伊坂 哲哉 高橋 航 前原 孝光 益田 宗孝
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.420-426, 2014-05-15 (Released:2014-06-13)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

鈍的外傷による外傷性気胸の経過観察中もしくはドレナージ療法後に遅発性外傷性気胸(LTP)を発症することが知られている.今回LTPのリスク因子を検討した.2006年11月1日~2012年12月31日に横浜労災病院で治療を行った鈍的外傷による外傷性気胸患者58人,61病変をLTP群と非LTP群に分けて患者背景および臨床背景を比較検討した.今回検討した肺嚢胞とは気腫性肺嚢胞および外傷性肺嚢胞とした.胸部CTにて,肺嚢胞は10病変(16.4%)検出された.LTPは7病変(11.5%)で発症した.単変量解析および多変量解析にて肺嚢胞の存在がLTPの独立したリスク因子だった.外傷性気胸の気胸側に肺嚢胞を有する場合LTPを念頭に厳密なフォローを要することが考えられた.
著者
安藤 耕平 前原 孝光 齋藤 志子 青山 徹 足立 広幸 益田 宗孝
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.367-372, 2011-05-15
被引用文献数
2

原発性自然気胸の再発が予測できるかについて検討するために,初発時に保存的治療を行った218症例を,その後再発した群(74症例)としなかった群(144症例)とに分け,再発に関わる因子について分析した.患者背景は平均年齢24.5歳,男/女199/19症例,対側の気胸の既往あり/なし21/197症例,喫煙歴あり/なし/不明93/75/50症例であった.単変量解析では,25歳未満(再発率42%),女性(63%),対側気胸の既往あり(57%),喫煙歴なし(55%)の症例で有意に再発率が高かった.多変量解析では,喫煙歴がないことのみが独立した再発の予測因子であった(p=0.006,odds比2.410).以上から,非喫煙者の原発性自然気胸は再発率が高いので,初発時でも患者の意向を考慮した上で手術を検討しても良いと考える.また,非喫煙者と喫煙者とでは自然気胸の発生のメカニズムが異なると推測される.
著者
武井 秀史 西井 鉄平 前原 孝光 角田 幸雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.183-187, 2004-06-20
参考文献数
14

背景.小細胞肺癌や肺カルチノイドが異所性ACTH産生によりGushing症候群を引き起こすことはよく知られている.しかしながらGushing症候群を呈した胸腺カルチノイドは報告が少なくまれである.症例.58歳女性.満月様顔貌,下腿浮腫,低K血栓の精査のため入院.血中ACTH, cortisolの高値を認めGushing症候群と診断された.画像上前縦隔に2cm大の腫瘍を認めた.異所性ACTH産生縦隔腫瘍の疑いで胸腔鏡下腫瘍切除術を行った.病理検索で胸腺spindle cell carcinoidと診断した.免疫染色でACTH陽性であった.術後速やかに血中ACTH値は低下し臨床症状も改善した.結論.非常にまれなCushing症候群に関連した胸腺spindle cell carcinoidを報告した.