著者
西元 直行 小柳津 朝子 永沢 勝雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-17, 1972-12-25
被引用文献数
1

地下水位の高低によるブドウおよびナシの生育におよぼす影響を調査した.1.ブドウの新梢伸長量および新梢肥大についてはB区がよく生育した.水位の低いA区がB区・C区に比較して劣ったが,新梢伸長量の点よりみて,B区・C区は徒長的傾向であったとみられる.2.ブドウの葉のクロロフィル含量およびみかけの同化量については,地下水位の低いA区がB区・C区より多かった.しかし,葉面積は地下水位の高いC区およびB区がA区より大きかった.3.ブドウの根群および相貌におよぼす地下水位の高低による影響は大であった.水位の低いA区は主根を基本とする根群,水位の高いC区は細根を中心とする根群を形成した.B区はA区とC区の中間的な様相を呈した.4.ナシの新梢伸長および新梢肥大等については,地下水位の高いC区が明らかに劣った.さらに伸長停止期も早く,6月22日であった.5.ナシの葉内クロロフィル含量および葉面積に関しては,地下水位の高いC区がA区およびB区より明らかに劣った.光合成産物増加量はA区が特に少なかった.6.ナシの根群形成におよぼす地下水位の影響はブドウとほぼ同じであった.水位の高いC区で異常根および枯死した根が多かった.7.ブドウおよびナシを比較すると,地下水位の影響をより鮮明に受けたのはナシであった.