著者
高橋 英吉 喜々津 哲男 中村 正博 永沢 勝雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.19-23, 1974-03-15

1.千葉県のような雨の多い火山灰土壌で栽培された巨峰の,著しい花振いを防止するために,gibberellin (GA)処理の効果をB-995との比較において検討した.2. GA処理によって無着粒の果房数は減少し,着粒数は増加した.GA_<4+7> 100ppmは着粒数の増加に非常に効果を示した.7月8日の着粒率は,GA処理によって5〜6倍に増加していた.3. GA処理によって果梗重および果梗径が増し,特に100ppmでその効果が大きかった.果梗重はGA処理によって2.5〜3倍に増加していた.4. GAは果粒の単為結果を誘起し,それを肥大させた.しかし,このGAによって誘起された単為結果果粒は有核果よりも小さく,その約80%は中(5.5〜6.4g),小(5.4g以下)果粒であった.この単為結果果粒はdouble sigmoidの生長曲線を示した.5.可溶性固形物および酸はGA処理によってあまり影響されなかった.しかし,果皮の色素はGA_<4+7> 100ppmで最も多かった.
著者
永沢 勝雄 佐藤 三郎 石渡 英夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-24, 1954-09-30

桃果実の保護の目的をもつて実施されている袋掛が果実の着色,硬度,果皮の厚さ,果実の成分などにいかなる影響を及ぼしているかを明らかにし,無袋果実が有袋果実にくらべ,実用的価値においてすぐれている点の多いことを知つた.各特性について比較して得た結果の大要は次のようである.1.果実の紅色色素の発達程度は品種によつて差があるが,有袋・無袋両区間の差異も品種によつてちがつた状況を示す.着色程度のちがいによつて次の4群に類別した.a)有袋・無袋両区の間に着色程度に差があり,有袋果では色つきが悪いが,無袋ではどす黒い程度の濃紅色を示すもの……伝十郎,白鳳,土用,橘早生などb)有袋・無袋両区の間に着色に差があるが,有袋果は色つきが悪く,無袋果でもそれほどひどい濃紅色を示さないもの……離核,岡山500号など c)有袋・無袋両区の間に着色の差がひどくなく,有袋でもある程度の着色を示し,無袋果でも相当程度の着色を示すもの……旭,スイカ桃,天津,昭和,大久保など d)有袋・無袋両区の間に着色の差がひどくなく,有袋でもある程度の着色を示すが,無袋でもあまり着色せず,商品価値を損ずるほどでないもの……早生玲紅,佐五平,日月などしたがつて,無袋果でも外観がひどく劣変しない品種としては,旭,早生玲紅,佐五平,日月,昭和,大久保,スイカ桃,天津などがあげられる.2.果実の硬さは有袋・無袋によつてそれほど大きな差異を示さないが,がいして無袋果の硬度が減少する傾向を示している.3.果皮の厚さは無袋果の方が有袋果より厚くなつている.4.糖分含有量は無袋果の方が有袋果より10%内外多くなつている.5.果実内の酸の含量は無袋果が有袋果よりいく分少いようであるが,その差はあまり大きくない.6.果実内ビタミンC含量は無袋果の方が有袋果より10%内外増加している.7.果実の硬度,果実内成分含量,ペクチン含量,着色の変化などから綜合的に判定して,無袋果の成熟期は有袋果よりいく分促進されるようである.
著者
西元 直行 小柳津 朝子 永沢 勝雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-17, 1972-12-25
被引用文献数
1

地下水位の高低によるブドウおよびナシの生育におよぼす影響を調査した.1.ブドウの新梢伸長量および新梢肥大についてはB区がよく生育した.水位の低いA区がB区・C区に比較して劣ったが,新梢伸長量の点よりみて,B区・C区は徒長的傾向であったとみられる.2.ブドウの葉のクロロフィル含量およびみかけの同化量については,地下水位の低いA区がB区・C区より多かった.しかし,葉面積は地下水位の高いC区およびB区がA区より大きかった.3.ブドウの根群および相貌におよぼす地下水位の高低による影響は大であった.水位の低いA区は主根を基本とする根群,水位の高いC区は細根を中心とする根群を形成した.B区はA区とC区の中間的な様相を呈した.4.ナシの新梢伸長および新梢肥大等については,地下水位の高いC区が明らかに劣った.さらに伸長停止期も早く,6月22日であった.5.ナシの葉内クロロフィル含量および葉面積に関しては,地下水位の高いC区がA区およびB区より明らかに劣った.光合成産物増加量はA区が特に少なかった.6.ナシの根群形成におよぼす地下水位の影響はブドウとほぼ同じであった.水位の高いC区で異常根および枯死した根が多かった.7.ブドウおよびナシを比較すると,地下水位の影響をより鮮明に受けたのはナシであった.
著者
永沢 勝雄 大野 正夫 野間 豊 大場 陸司
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 1968-12-31

1.1966,1967両年度において,早生温州ミカンの結果母枝の発育程度とNAA散布による落果助長効果との関係,側枝の着果にあたえる影響を調査し,なお,NAA散布が収穫果実の形質におよぼす影響について調査した.2.NAA散布濃度は300,150ppmの2種類とし,花弁脱落期(満開5日後)ならびに幼果期(満開40日後)に散布した.一般に濃度の高い方が落果を助長した.3.NAA散布による落果助長効果は1966年では,幼果期散布区,1967年では,花弁脱落期散布区に顕著で,年によって様相を異にした.4.NAA散布が果実の形質にあたえる影響については,1966,1967の両年とも,いづれのNAA散布区においても一果平均重が大きく,大果歩合が高くなった.その原因としては,落果助長にもとずく,一果当り葉面積の増大によるほか,NAAそのものに残存果実の肥大を助長する作用があるのではないかと考えられた.