著者
尾上 孝利 西口 尚志 足立 裕亮
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.19-29, 2008-03

近年、わが国の住宅はクーラーや暖房の効率化を求めて高気密化が進められ、結露によるカビ発育での建築材の汚染や劣化、カビが形成した胞子や産生物質によるアレルギーやシックハウス症候群が問題となっている。一般家庭の浴室は湿気対策が不十分でカビが頻繁に発生している。本研究では換気と拭取り法で浴室の湿気管理法を検討した。晴天時機械換気(浴室の入口と窓を閉めきり、換気扇のみ)、晴天時自然換気(浴室と脱衣所の入口と窓を開けて換気)および雨天時自然換気の3方法で7時間換気後に水滴が残った部位は、床面、浴槽のふち、鏡の接合部分、鏡台の上、鏡台下の壁面、窓サッシおよび浴室入口の右側などであった。残水部位の多くでカビが発育しており、カビ発育部位と残水部位はよく一致していた。換気7時間後に水滴が残り易い窓のアルミサッシを対象に晴天時機械換気と晴天時自然換気法で1時間換気後に窓サッシに付着した水滴を拭取り、換気を続けた結果、換気7時間後に窓サッシで水滴は見られなかった。以上のことから、個々の浴室で残水のでき易い場所をみつけ、換気1時間後に水滴を拭取り、各壁が乾燥するまで換気すれば、湿気管理ができると考えられる。