著者
猪子 香代 西園 文 大澤 真木子 石井 かやの
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

子どもの抑うつは、学校の友人関係が、中学生年代では関係があると考えられる。また、「いじめ・いじめられ尺度」を作成し、また、家族、友人などとの関係における喪失・不安・怒りを引き起こすような「抑うつ誘因エピソード尺度」を作成した。#いじめ・いじめられいじめと自殺の関連が、マスコミで話題になり、一般の中学校においても、関心の高いところとなった。心理の暴力について、加害者、被害者、それに暴露された子ども、いずれも援助の対象と考える。今回は、これらの3つの側面からの質問紙を作成し、一般の中学生の生徒を対象に抑うつとの関連を検討した。共分散構造分析において、「いじめられ」の潜在因子は抑うつに関連があった。しかし、「いじめ」体験のこどもは「いじめられ」「いじめの目撃」体験と関連がある。「いじの目撃」体験のある子どもは「いじめられ」に関連がある。#抑うつについては、生活の中の出来事について、それをどのように認知するかということで、感情や情動に違いがみられるといわれている。抑うつの誘因になると考えられるエピソード尺度を作成し、一般中学校を対象に抑うつとの関連をみたところ、友人関係の不安、家族の言い争いが抑うつとの関連がみられた。いじめの問題も含めて、子どもたちの友人関係への不安への対処をどのようにするかということが重要と考えられる。子ども自身の特性を理解できるとともに、それぞれの子どもに対応したマニュアルを作成している。