著者
原田 小夜 西垣 里志
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.122-132, 2021-07-27 (Released:2021-10-16)
参考文献数
28

高齢精神障害者支援において精神科訪問看護が介護支援専門員との連携を進める上で直面している課題と対応について明らかにすることを目的に,精神科訪問看護ステーション3カ所6名の精神科訪問看護師にインタビューを行い,質的帰納分析を行なった。その結果,【家族が抱え込んだ精神・身体の両方のケアが必要な高齢者】,【介護支援専門員の高齢精神障害者に対する生活支援力の不足】,【地域での連携が進まないジレンマ】,【訪問看護は介護と障害の架け橋】の4コアカテゴリを抽出した。家族だけで長年援助してきた精神科未治療で身体的ケアの必要な高齢精神障害者の紹介が介護支援専門員から精神科訪問看護に入るが介護支援専門員の精神疾患・精神障害に対する知識不足や観察力不足があるため連携が難しいこと,介護支援専門員は精神科訪問看護の役割が理解できていないこと,支援を進める上で介護保険制度上の課題があること,精神科訪問看護が多職種間の連携を主体的に進めていこうと考えていることが示唆された。