著者
森田 茂 平野 正己 西埜 進
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.75-81, 1991-02-25

反すう家畜の採食行動に及ぼす飼料給与順序の影響を明らかにするため、各飼料給与時に観察された採食期(採食開始から終了まで)を採食期継続時間により分類し、採食を継続する確率および採食期回数から検討した。供試動物にはホルスタイン種去勢牛8頭を用いた。給与した飼料は、ペレット状配合飼料と細切2番刈乾草である。これら2種類の飼料の給与順序を変え、先に給与した場合(先給与)と後に給与した場合(後給与)の各飼料の採食量、採食時間、採食期回数および採食を継続する確率を比較した。1日当り採食量および採食時間は乾草において先給与の方が後給与より有意(P<0.05)に多かった。しかし、配合飼料では差は認められなかった。両飼料の採食期とも採食継続時間の分布から、採食を継続する確率の異なる4分以下の採食期(タイプA)と4分を超える採食期(タイプB)に分類された。タイプAの採食を継続する確率は、乾草での先給与の方が、配合飼料では後給与の方が高かった(P<0.05)。これに対し、タイプBの採食を継続する確率は、いずれの飼料においても先給与の方が後給与より有意(P<0.05)に高かった。各タイプの採食期回数は、乾草のタイプBでのみ有意差(P<0.05)がみられた。また、各採食期より求めた採食時間においても、乾草のタイプBのみで給与順序による差が認められた(P<0.05)。 日本家畜管理研究会誌、26(3) : 75-81.1991 1990年2月10日受理