著者
西場 洋一 須田 郁夫 沖 智之 菅原 晃美
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.295-303, 2007
被引用文献数
4 6

(1) 全国各地で栽培された大豆20品種・31検体のイソフラボン,ビタミン類を分析した結果,イソフラボン総量は131.6~568.7mg/100gdwの範囲で変動しており,平均値は302.9mg/100gdw, 変動係数は40.7%であった.それぞれの栽培地において,イソフラボンは品種の違いで最も大きく変動する傾向にあった.イソフラボンの組成はマロニル配糖体が全体の72.9~87.6%を占め最も多く,アセチル配糖体,アグリコンは微量であった.アグリコンの組成はGenisteinの比率が高い傾向にあった.イソフラボン総量に占めるアグリコンの割合は平均して53.9%であり,イソフラボン総量とアグリコン換算値との間には極めて高い相関関係が認められた.<BR>(2)α-トコフェロール当量(ビタミンE)は,全国の大豆において3.4~13.3mg/100gdwの範囲で変動し,平均値は5.6mg/100gdw, 変動係数は40.5%であった.4つの同族体の中でα-,β-トコフェロールの変動が大きく,各栽培地で共通した傾向であった.特にα-トコフェロール含量はビタミンEとしての生物学的効力を表すα-トコフェロール当量と相関が高く,大豆のビタミンEがα-トコフェロールの変動により大きく支配されている実態が示された.チアミンは0.55~0.89mg/100gdw, リボフラビンは0.21~0.30mg/100gdwの範囲で変動していた.平均値はそれぞれ0.71mg/100gdw, 0.23mg/100gdw, 変動係数は13.0%,10.3%であり,イソフラボン,α-トコフェロール当量に比べると変動は小さかった.<BR>(3)九州地方の基幹品種である「フクユタカ」について,九州地域11箇所で栽培された大豆を収集し成分分析を行った結果,全国大豆の分析結果と同様,イソフラボンとα-,β-トコフェロールの変動が大きく,チアミン,リボフラビンの変動は小さい傾向であった.