著者
西尾 咲子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

卵巣明細胞癌細胞株では、スタチン系の薬剤(SimvastatinとPitavastatin)によって癌シグナルであるNF-kBおよびSTATが抑制され、免疫抑制サイトカンのLI-6の産生が阻害された。細胞増殖に影響を与えなかった。卵巣癌移植マウスを用いた研究でも、スタチンを投与したマウスでは腫瘍中のCD8陽性細胞浸潤が促進され、免疫抑制が解除されていると考えられた。腫瘍内の免疫細胞をFACS法で検討したところ、スタチンの投与によって樹状細胞とマクロファージの浸潤数に変化はなかった。これらのことから、スタチンは、がんにおいて免疫抑止環境を改善し、抗腫瘍T細胞応答を増強することが示唆された。