著者
西村 愛美 大本 夏未 西山 有依 柳 美穂 三谷 匡 細井 美彦 入谷 明 安齋 政幸
出版者
近畿大学先端技術総合研究所
雑誌
近畿大学先端技術総合研究所紀要 (ISSN:13468693)
巻号頁・発行日
no.15, pp.27-35, 2010-03

本実験では成熟齢C57BL/6J マウスから得られた体外成熟卵子を作出し、レーザー穿孔処理法を用いて各出力条件下(200, 150, 120μsec.)で透明帯穿孔処理を行ない、その後の体外受精および発生能を検討した。C57BL/6J 卵巣より回収した未成熟卵子の体外成熟成績は、91%(1, 517/1, 674)であった。レーザー穿孔処理時間による受精成績は、それぞれ、60%(191/316), 54%(103/192), 45%(196/439)であり、対照区(28%:129/463)と比較し有意な差が認められた(P<0.05)。また一部を培養した結果、胚盤胞期への発生率は31%(32/102), 51%(74/144), 53%(40/75)であった。2細胞期胚を移植した結果、レーザー出力を低出力にした場合、産子の発生向上が確認された〔6%(5/81), 13%(10/83), 21%(12/56)〕。さらにレーザー照射による熱変性を避けるため、卵細胞質を収縮させた透明帯穿孔卵子における受精成績も同様に対照区と比較し有意に向上した(p<0.05)。以上の結果より、C57BL/6J 未成熟卵子の体外成熟およびレーザー穿孔処理の条件を調整することにより、産子への発生を改善することが示唆された。