著者
吉村 知里 西山 覚 洲崎 敏伸 芦田 均 上田 裕清 森山 正和
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

オーストラリアの大学における廃棄物および実験排水処理について,オーストラリア国立大学(The Australian National University, ANU)へ調査に行った.ANUは,オーストラリアにある8つの総合大学の1つであり,唯一の国立大学である.首都キャンベラの中心街に近接するANUキャンパスは敷地面積145ヘクタールの広さに200以上の建物がある.ANUの高等研究所の1つである生物科学研究所を訪問した.理系の研究棟からの排水は,実験系と生活系に分離されていた.生物科学研究所の実験系からの配管は2箇所に集合し,pH測定と中和処理を経て生活系の配管と合流し公共下水道に接続されていた.実験排水の水質分析は特に大学側で行ってはいないが,行政側が年に2回程度定期的に検査を行っているとのことであった.最初に理系の研究棟に所属する者は,薬品の取扱いや実験廃棄物・廃液の処理方法等の安全指導を研究室の担当者から説明を受けることが決められていた.担当者は,説明内容チェックリストを確認しながら説明を行い,最後に受講者に署名をさせていた.AM激地内には雨水専用の排水管が巡っており,近くの河川へ流出する排水の分流式がされていた.この雨水が直接河川に流入しているため,雨水桝にごみなどが混入されないように教育と啓発もされていた.また、学内では「節水」に取り組むようポスターやホームページで啓発を行っていた.さらに年間の水の使用量もホームページで公開し節水効果を学外にも示していた.