著者
西岡 あかね
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本年度前半は主に、昨年度アメリカ合衆国で行った文書館調査(フランツ・ヴェルフェル関連資料と遺稿、カリフォルニア大学ロサンジェルス校及びペンシルヴァニア大学所蔵)の際に得た資料の整理と分析を行った。対象となった資料は以下の通り:1)フランツ・ヴェルフェルの書簡2)フランツ・ヴェルフェル宛ての書簡3)フランツ・ヴェルフェルの未発表原稿とノートこの資料調査・分析の結果の一部は、2007年10月にヴィラ・ヴィゴーニ、ドイツ・イタリアセンターでの国際シンポジウムで行った口頭発表の中で公表した。(この口頭発表の原稿は、来春出版予定のシンポジウムの論集に収録される。)また、この発表では公表しなかった資料については、今後、ドイツ表現主義の朗読理論や文学実践の諸相を研究する際に利用し、その成果は順次発表していく予定である。今年度の後半は、これまでの研究で得られた知見を様々な学会で口頭発表した。すなわち、上述のドイツ・イタリアセンターでの発表の後、日本比較文学会関西大会では、ドイツ表現主義の芸術実践と日本の大正期における新興芸術運動を、村山知義の初期戯曲を例に比較した。また、この発表から出発して、前衛運動の国際性に関する考察を、2008年3月、立教大学におけるフンボルト・コレークにおいて口頭発表した。その他、昨年度から進めていた、前衛芸術家の自己演出に関する研究を最終的にまとめ、この成果を、2008年3月、日本独文学会主催の第50回ドイツ文化ゼミナールで発表した。この発表原稿は今後、学術雑誌に投稿を予定している。