著者
小倉 俊郎 古賀 光
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

当大学2012年度新入生2,257名の甲状腺疾患の既往,甲状腺ホルモン,自己抗体および甲状腺腫のスクリーニング検査を行った。甲状腺疾患の既往は0.4%で,女子がほとんどであった。甲状腺腫は,男子0.8%,女子4.6%に認め,そのうち3名に甲状腺乳頭癌が発見された。自己抗体陽性は男子に比して,女子で高頻度(5.1%)であった。検査より女性2名でバセドウ病再発例と新規例が発見された。甲状腺ホルモン低下例はなく,高値例が半数以上を占めた。若年者の甲状腺異常は自覚症状のない潜在例が多く,早期発見のためには頚部触診,血液検査のスクリーニング,甲状腺超音波検査などを積極的に行うべきと考えられた。
著者
樋口 輝久
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

これまでに行われた歴史的ダムの保全・改修の事例を調査し、ダムの形式ごとに特徴、問題点を整理した。さらに、保全・改修の方針、手法をもとに、a)堤体補強,b)嵩上げ,c)凍結融解防止,d)用途変更,e)残置,f)形式変更,g)付属設備の改修の7項目に分類し、個々の事例を紹介し、それぞれに対する評価を行った。特に歴史的価値が失われてしまった事例に対しては、採るべき適切な保全方法について言及した。
著者
中塚 幹也 関 明穂 新井 富士美
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

性同一性障害では,心の性と身体の性が一致せず,子どもの頃から性別違和感を持ち,不登校,自殺念慮,自殺未遂などを経験する率も高い.本研究では,各地の当時者の在学する学校,教育委員会,ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者等への調査により,小学校,中学校,高等学校,大学での対応状況,問題点を明らかにし,対応マニュアルである『学校の中の「性別違和感』を持つ子ども:性同一性障害の生徒に向き合う』を作成,配布した.
著者
稲垣 兼一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-07-25)

松果体より分泌されるメラトニンは網膜から入る光刺激により負に調節され、生体内の概日リズム形成に寄与している。近年副腎ホルモン分泌についてもメラトニンが直接作用、調整する可能性を示唆する研究が報告されている。本研究では副腎皮質及び髄質モデル細胞株を用いて、副腎におけるステロイド及びカテコラミン分泌に対してメラトニンが直接的に及ぼす影響とその細胞内メカニズムについて検討した。その中でメラトニンが細胞局所因子や他のホルモン調整因子と連関し副腎内ホルモン合成を調整している可能性が示唆された。
著者
坂口 英
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990 (Released:1990-04-01)

本研究ではまずはじめに,後腸発酵動物(モルモット,デグー,オオミミマウス,マーラ,ヌートリア,ハムスター,ハタネズミ,ラット,ウサギ)のADF消化率と消化管内容物滞留時間との関係を検討した.その結果,繊維の消化能力は微生物発酵槽である大腸の内容物貯留能に支配されるが,それぞれの動物の消化管によって異なる貯留機能が備わっており,繊維消化能はその機能に応じて異なることが示された.また,ウサギの消化管機能は飼料の物理性,特に粒子サイズに大きく影響され,飼料繊維の消化率の変動は他の後腸発酵動物とは異なった要因によってもたらされることが明らかになった.次に,異なる大腸内容物貯留機能と繊維消化能力を備えた動物種間で,消化管内微生物活性にどのような違いがあるかを検討するために,同一飼料を与えたラット,モルモット,オオミミマウスの大腸内容物中の繊維分解菌数,有機酸組成,大腸内微生物の繊維分解活性等を調べた.繊維分解菌数は繊維消化能力の高いモルモットが必ずしも多くなく,短鎖脂肪酸組成,短鎖脂肪酸総量,セルロース分解活性にも動物種間差が認められ,これら3動物種の盲腸内セルロース分解菌の種類と性質に差異があることが示された.しかしながら繊維の消化能力とこれらの微生物に関わる測定結果との一定の関係はつかめなかった.以上のように本研究で調べた齧歯類間の繊維消化能力の違いは,動物の持つ盲腸内セルロース分解菌数と活性からだけでは説明することはできないことが示唆された.繊維分解の動物種間差は,セルロース分解菌群が存在する発酵槽(盲腸)へ流入する内容物(基質)の質的な違い,セルロース分解菌を効率よく保持できる消化管構造と機能の有無などによってもたらされるものと考えられる.
著者
小野 芳朗 小野 芳朗 水藤 寛 毛利 紫乃
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

化学物質の影響は、子供が感受性が高い。その曝露シナリオのモニタリング指標として、子供の集積する小学校の桜の葉を選んだ。桜はほとんどの小学校に植えられている。岡山市内19の小学校に許可を得て、4月から11月までの間、桜葉を採取した。得られた葉を、ひとつはチトクロームP450誘導を知るEROD活性を測定した。これらの測定に係わり、葉中の繊維を溶かすなどのテクニックを導入した。EROD活性は概して道路近傍の小学校に多い傾向がみられたが、有意な差をみることは難しかった。そこで、多環芳香族炭化水素類(Poly Aromatic Hydrocarbon : PAH)を測定した。対象とした小学校は、岡山市内を横断する国道2号線(片側3車線)をはじめ、主な国道沿いの立地や、市南部の工場地帯の立地、山間部の立地など特性をもたせた。その結果、概して道路近傍の小学校の桜葉は、PAHに汚染されていることがわかった。また南部工場地域の小学校のPAHが最も高く、移動発生源である自動車よりも国連発生源である工場の影響が強いことが示唆された。また、PAHの由来をオイルと燃料由来に分けて検討した結果、燃料由来の比量が大きく、大気中の排ガス発生源のものを桜葉が吸収していたことが明らかになった。さらに、これら桜の葉との相関をとるために、桜木の下の土壌、当該小学校における大気をサンプラーによって収集かつ近傍道路において道路近傍の大気、じんあいを採取し、これらのPAHと桜葉中のPAHの相関を求めたが、明確な相関はでず、桜葉中のPAHは、これら複数の要因の複合により形成されていることが示唆された。
著者
中東 靖恵
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

本年度は、中国人日本語学習者に対して撥音の読み上げ調査を行い、その結果を学習者音声の音声的バリエーションという観点から考察を行った。インフォーマントは、日本に在住の中国人日本語学習者31人(男12人、女19人)。出身地、民族名、年齢、来日歴、日本語学習歴など学習者の属性のほか、中国で受けた日本語の発音教育や、日本語の撥音を発音する際の意識についても尋ねた。調査は、以下に示すような撥音を含む258の単語と13の短文を用いて行った。(1)両唇鼻音:インパクト、乾杯、看板、コンビニ、あんまり、運命、さんま、専門…(2)歯茎鼻音:簡単、センター、半月、うんざり、金属、団地、本音、訓練、親類、コンロ…(3)硬口蓋鼻音:カンニング、こんにゃく、三人、にんにく、般若、本人…(4)軟口蓋鼻音:アンコール、単価、貧困、案外、音楽、言語、ジャングル、ハンガー…(5)口蓋垂鼻音あるいは鼻母音:安全、本、禁煙、恋愛、神話、男性、チャンス、噴水…調査の結果、学習者に見られる撥音の音声的バリエーションには、音環境ごとに一定の傾向が認められることが明らかになった。多くの場合、日本語母語話者と同様、後続する音の別により実現音声が決まるが、ゆれも見られ、その場合、撥音に先行する母音の別と、先行母音の調音位置が関係するという日本語母語話者にはない別の規則が働いている可能性が示唆された。本研究は、従来、誤用の観点からしかあまり議論されてこなかった日本語学習者の撥音の実現音声について、計量的観察に基づき、音声的バリエーションという観点から考察することにより、これまで漠然としていた学習者音声の実態を明らかにすることができた。今後、他の言語を母語とする学習者にも調査を行い、日本語学習者に共通する規則性が見いだせるかどうか、そしてそれがあるとすれば互いに共通性があるのかどうか、検討する必要がある。
著者
冨士田 亮子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

住宅の清掃は、住まいを美しく、清潔に暮らしていくために、必要なばかりでなく、居住者によって日常的に住宅内外の点検や小修理が行われることから、住宅の維持管理上も必要な基本的な作業である。近年、住宅の長寿化が目指されているものの、住宅そのものばかりでなく、住生活も大きく変化し、清掃は行われなくなっている。清掃をはじめとした住宅を維持管理するために、居住者がどの様な手法を用い、現在までどの様に受け継いでいるかを明らかにするため、明治以降に出版された月刊誌の掲載記事を採集し、また、伝統的住宅地における清掃をはじめとした住宅の維持管理の実態と意識を把握し、時代による変化、用具、考え方を明らかにする。あわせて、今後の住宅の維持管理に活かす方法、また、住文化的にも現代生活において引き継いでいったらよいと思われることを明らかにする。(1)月刊誌にみる清掃:対象とした月刊誌は『住宅』と『婦人之友』である。『住宅』では創刊号(1916年)から廃刊(1943年)までの28年間、また、『婦人の友』では、創刊号(1908年)から昭和期(1988)までの81年間である。清掃をはじめとした住宅の維持管理に関する記事を収集し、記述内容の分析を行った。採集した記事は『婦人の友』64件、『住宅』42件ある。その結果、『婦人之友』では、1)掃除の担当は、中流家庭の場合、女中から主婦へ移っていく様子が見える。2)住宅内の清掃場所は居住室で、掃除機が普及する以前ははたく→掃く→水拭きの順に毎日、朝食前に行われていた。住宅を美しく磨き上げることに主眼が置かれている。3)清掃は、時間や労力の管理を重視した視点で書かれ、日常生活を丁寧に営み、美しく清潔に住むことに主眼が置かれている。4)『住宅』は、労賃などの点から女中を雇用する代わりに、掃除機を用いたり、軽減するための合理的な方法を見いだそうとしている。(2)伝統的住宅における家庭清掃:調査対象地域と対象家庭は、重要伝統的建造物群保存地区である岐阜県美濃市、大阪府富田林市、岡山県高梁市吹屋および伝統的生活習慣を色濃く残している京都市中京区の1985から1987年に実施した調査家庭で、計14家庭である。その結果、1)日常の清掃は、日常用いる部屋を中心にして行われて、日常の清掃範囲は縮小の傾向である。用具は、掃除機ばかりでなく、使い慣れて軽い箒、はたき、雑巾が使い続けられている。京都の「かどはき」を除いて、朝食後に、10〜90分かけて行っている。夫婦が協力して行う家庭もみられる。2)家庭内の清掃は、しなければならないものとしており、業者を利用ることは考えられていない。3)調査対象住宅の内装、外装材は無垢材であるため、新築時以降の継続した清掃習慣が材の艶を出し、汚れを取りやすくし、丁寧に住みこなしている様子である。生活習慣の積み重ねの大切さを感じさせられる。
著者
木浦 勝行 瀧川 奈義夫 市原 英基 中村 栄三 吉野 正 高田 穣
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

健常雄性 Slc: Wistar ラット 10 匹に鉄およびキレート剤を腹腔内へ反復投与し,5 匹で悪性腹膜中皮腫を認めたが,コントロール群,キレート剤投与群では認めなった。免疫染色(Calretinin, CEA 染色),電子顕微鏡による観察を行い,いずれも上皮型中皮腫であることを確認した。また,DNA 酸化損傷マーカーである 8-hydroxy-2-deoxyguanosine による免疫染色は陽性であり,従来の学説は確認された。ラジウムを含む微量元素を最終解析中である。
著者
鐸木 道剛
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

日本の大主教ニコライ・カサートキン(1836-1912)が育てた日本人イコン画家山下りん(1857-1939)の先駆者のような形で、アレウト・カムチャツカ・クリルの主教インノケンティ(1797-1879)が育てたワシリー・クリューコフ(c. 1805-c. 1880)というアレウト人画家がいる。今回の調査によって、クリューコフとその周辺のアラスカのイコン画家たちはロシアから将来された原画を忠実に模写したことが明らかになった。これは山下りんのイコン制作態度と同じであり、ニコライはイコン制作に関しても先輩のアジアへの正教会伝道師インノケンティのイコン観を受け継いだと考えられる。8世紀ビザンティンに由来する表象観念が、アラスカと日本に同様に伝えられたことになる。
著者
井上 剛 森山 芳則
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

有効な治療薬が無い難治性てんかんに対して、ケトン食療法が有効であることが知られている。そこで本研究では、ケトン食による代謝変化(ケトン体の上昇、グルコースの減少)に着目し、その作用機序の解明と抗てんかん剤の同定を行った。ケトン体の化学構造を改変する事で、興奮性シナプス伝達を抑え、抗てんかん作用も示す化合物を見出した。さらに、ケトン食による神経抑制・抗てんかん作用の新規メカニズムも見出し、それに基づく抗てんかん剤も見出した。
著者
根岸 友恵 鈴木 利典 濱武 有子 藤原 大
出版者
岡山大学
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

痛風の原因物質として知られている尿酸であるが、抗酸化物質として重要な働きをしている。尿酸がどのような酸化ストレスに対して防御作用を示すかを調べ、生物における尿酸の存在意義とその利用価値を示すことを目的とした。ショウジョウバエの尿酸欠損株はタバコ副流煙曝露に感受性が高い。副流煙曝露時の尿酸含量を測定した結果、野生株では尿酸が、尿酸欠損株では前駆体含量は増加した。このことは酸化傷害に対する防御機構として尿酸合成が亢進している可能性を示唆するものである。