- 著者
-
清水 大樹
田口 清
西川 晃豊
小岩 政照
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.3, pp.184-188, 2006-03-20 (Released:2011-06-17)
- 参考文献数
- 9
6頭のホルスタイン種非泌乳牛 (平均体重528kg) に20%グルコン酸カルシウム (Ca) 液500mlおよび1,000mlを7~10日間隔で左側および右側頸部の1カ所に皮下注射した. 血中総Ca (tCa) およびイオン化Ca (iCa) 濃度は投与前値に比べて投与後2, 3時間に500ml群で平均0.37および0.20mM/L, 1,000ml群では0.78および0.41mM/L上昇した. 皮下注射24時間後の注射組織の生検所見は筋間の水腫, 出血, 炎症性細胞浸潤であった. 次に分娩後3時間以内の6頭のホルスタイン種経産牛に20%グルコン酸Ca液を両側頸部に500mlずつ合計1,000ml皮下注射した. 注射3時間後にtCaおよびiCaは投与前値に比べて0.79および0.34mM/L上昇し, 有意な増加は12時間持続した. 注射部位の腫脹は12時間でほぼ消失した. 潜在性低Ca血症の治療に20%グルコン酸Ca液1,000mlの皮下注射は安全かつ有用であると考えられた.