著者
清水 大樹 田口 清 池ノ内 存
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.791-793, 2007-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1

成牛の股関節脱臼は, 分娩後に発生した症例や発生後12時間を経過した症例では非観血的整復の予後は悪いと報告されているが, 分娩2日後に滑走・転倒によって起立不能に陥り, その5日後に股関節後上方脱臼と診断したホルスタイン種搾乳牛 (4歳, 体重約750kg) に非観血的脱臼整復術を行った結果, 脱臼は整復され, 順調に生産活動に復した.乳熱や坐骨神経麻痺の臨床症状がなかったことが非観血的整復の成功した理由であると考えられた.
著者
内田 暁雄 三宅 由洋 田口 清行 村本 雄一郎 田中 均
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.121-124, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

プレートテクトニクスの教材は,教科書や資料集では地震や火山活動,造山活動等の単元の図・表・写真等で学習することが多いようである。本論では,子ども達が野外観察をしたときにプレートテクトニクスを実感させる教材としてメランジェを取り上げる。メランジェとは一般に“地図に描ける大きさで地層としての連続性がなく,細粒の破断した基質の中に色々な大きさや種類からなる礫・岩塊を含むような構造をもった地質体”として定義されている。熊本県人吉市大畑地先には,陸源物質からなる破断した砂岩,砂岩頁岩互層の中に海洋地殻を構成していた枕状溶岩(玄武岩),遠洋性堆積物である赤色~白色チャート,赤色珪質泥岩等が一つの露頭で観察することができる。すなわち,形成場所や形成時代が異なるさまざまな岩相が一つの露頭で観察される理由を考えさせ,理解させることが子ども達にプレートテクトニクスを実感させることに繋がる教材と考えている。
著者
西川 晃豊 田口 清 樋口 豪紀 佐野 公洋 永幡 肇
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.35-39, 2006-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

強電解酸性水 (電解水) に硫酸銅を溶解させた電解水硫酸銅液に6%まで有機物を混入させ, 大腸菌 (Escherichia coli ATCC 11775株) に対する殺菌効果を評価した.電解水硫酸銅液は有機物混入下で硫酸銅濃度2.5×10-2%まで大腸菌の発育を阻止し, 水道水や蒸留水を溶媒とした硫酸銅液より殺菌効果が高かった.次に趾皮膚炎 (DD) が蔓延していたフリーストール農場 (搾乳牛約130頭) において電解水のすすぎ槽と電解水2.5%硫酸銅液の薬液槽を用いた通過型蹄浴のDDによる跛行制御効果を検討した.全頭の通過により薬浴槽のpHは3.1から4.5に, CODは230から3, 890ppmに上昇した.この蹄浴による5カ月間の跛行を呈するDDの摘発率は毎月1.5~3.9%で, 過去4カ月間に実施した水道水5%硫酸銅液による蹄浴と差がなく, 硫酸銅使用量を従来よりも半減できることが示唆された.
著者
清水 大樹 田口 清 西川 晃豊 小岩 政照
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.184-188, 2006-03-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

6頭のホルスタイン種非泌乳牛 (平均体重528kg) に20%グルコン酸カルシウム (Ca) 液500mlおよび1,000mlを7~10日間隔で左側および右側頸部の1カ所に皮下注射した. 血中総Ca (tCa) およびイオン化Ca (iCa) 濃度は投与前値に比べて投与後2, 3時間に500ml群で平均0.37および0.20mM/L, 1,000ml群では0.78および0.41mM/L上昇した. 皮下注射24時間後の注射組織の生検所見は筋間の水腫, 出血, 炎症性細胞浸潤であった. 次に分娩後3時間以内の6頭のホルスタイン種経産牛に20%グルコン酸Ca液を両側頸部に500mlずつ合計1,000ml皮下注射した. 注射3時間後にtCaおよびiCaは投与前値に比べて0.79および0.34mM/L上昇し, 有意な増加は12時間持続した. 注射部位の腫脹は12時間でほぼ消失した. 潜在性低Ca血症の治療に20%グルコン酸Ca液1,000mlの皮下注射は安全かつ有用であると考えられた.
著者
三好 正一 田口 清 青木 創 虻川 孝秀 岡田 洋之 吉野 知男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.575-578, 2004-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

4歳のホルスタイン種乳牛において分娩後, 食欲の低下とタール便の排泄を認めた. 被毛は粗剛となり脱毛し, 末梢部 (耳介, 尾端) の壊死, 両前膝表皮の脱落および左後肢の壊疽が認められた. 患畜が乾乳中に敷き料として用いられたライ小麦麦秤が赤カビに汚染され, 高濃度のマイコトキシン (デオキシニバレノール) が検出されたこと, また, 患畜がその敷き料を採食していたことから, 発症原因としてマイコトキシン中毒の関与が疑われた.