著者
西本 紫乃
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 = Journal of the Japan Information-culture Society (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.45-52, 2011-12-13
参考文献数
32

情報の自由な流通について制約のある中国において,近年インターネットが「公共圏」として「市民社会」の発展をうながすか,という可能性に関心が高まっている。ただし,少なからぬ研究者によって「市民社会」の概念については中国社会の特質を考慮すべきであるとの指摘がなされている。本稿では,中国のインターネット空間における流行語に着目した。インターネット・ユーザーがやりとりする象徴的な言葉から,その公共性と世論形成についての実態をさぐり,中国社会の文化的文脈の影響と「市民社会」の生成の可能性について考察する。