著者
西村 俊哉
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、異種母体を利用した個体作出システムの構築を目的とし、胚盤胞補完法を用いて子宮欠損ラット体内にマウス幹細胞由来子宮を作製し、そこにマウス胚を移植し、ラット母体内でのマウス胎子の発生を試みる。異種母体内で移植胚と同種の子宮を作製することができれば、異種母体を利用した個体作出システムの構築に大きく近づくと考えられる。また、本研究が進めば、産子作出に同種母体が必要なくなることから、個体の確保が困難な絶滅危惧種やすでに絶滅した種の近縁種を用いることによる“代理異種母出産”が可能となる。本年度は、前年度に開発した飛躍的なドナーキメリズムを上昇させる新規手法(細胞競合ニッチ法)をさらに改良することで、子宮特異的に成長因子受容体欠損を誘導する遺伝子改変マウスを作製した。具体的には、Wnta7遺伝子のプロモーター下でCREタンパク質を発現するマウスとIgf1遺伝子にloxp配列が挿入されたマウスを掛け合わせることで、両方の組み換え遺伝子を有したマウスを作製した。今後、本マウス胚にドナー細胞を移植することで、①ドナー細胞のキメリズムが子宮内で上昇するか、②ドナーキメリズムが上昇した場場、ドナー細胞由来子宮を誘導することが出来るかを検討する。また、これまで得られたデータをまとめ、論文発表(Nishimura et al., Cell Stem Cell. 2021)、学会発表(第20回再生医療学会総会 口頭発表)を行い、研究成果を社会に発信するとともに、得られた研究結果の米国特許申請を行うことで産業に結び付ける足掛かりを作った。