- 著者
-
西村 友洋
樋口 雄大
山口 弘純
東野 輝夫
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.12, pp.2511-2523, 2014-12-15
スマートフォンの普及にともない,歩行者向けのナビゲーションが広く利用されてるようになっている.日常的に多くの人々が往来する地下街や商業ビルなどにおいて,各地点の混雑状況を把握することができれば,ユーザの状況に応じた移動支援などが可能になり,ナビゲーションシステムの利便性が大幅に向上することが期待される.そこで本論文では,スマートフォンに内蔵されたマイクおよび加速度センサを用いて端末保持者の周囲の雑踏音およびユーザ自身の歩行動作をセンシングすることで,周辺の混雑状況を推定する手法を提案する.一般に混雑時には周囲の群衆の歩行速度に合わせて移動するため,平時と比べて歩行のステップ周期に変化が生じる.また,混雑時は,環境音の低周波成分が増大する傾向がある.提案手法では,これらの知見に基づき,加速度および環境音の測定値から特徴量を抽出し,各ユーザのモバイル端末上でリアルタイムに混雑状況の判定を行う.各端末による判定結果をクラウドサーバ上で共有することで,混雑情報の参加型センシングが実現できる.実環境において性能評価実験を行い,周辺の混雑状況を平均約70%の精度で認識できることを確認した.