- 著者
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吉井 隼
野地 剛史
勝野 渉
田村 茉央
長谷川 美帆
遠藤 匠
森末 明子
青木 敏行
横内 到
杉 薫
渡邉 紳一
西村 宗修
- 出版者
- 一般社団法人 日本透析医学会
- 雑誌
- 日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.9, pp.449-455, 2021 (Released:2021-09-28)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
-
1
維持血液透析(HD)患者における足趾上腕血圧比(TBI)の予後予測因子としての有用性は不明である.本研究では足関節上腕血圧比(ABI),TBI,皮膚灌流圧(SPP)を検査した157名のHD患者の5年後の生存の有無と因子を用いて予後因子解析を行った.Cox proportional hazards modelを用いた検定の結果,TBIは独立予後因子であった(p<0.001).また死亡予測のROC曲線では,TBIのcut off値が0.56,曲線下面積はTBI 0.91で予測能が最も高かった.算出されたTBIのcut off値を用いてTBI≧0.7群,0.7>TBI≧0.56群,TBI<0.56群およびZero TBI sign群に分類した結果,0.7>TBI≧0.56群の生命曲線はTBI≧0.7群と差がなかった.また,TBI<0.56群が0.7>TBI≧0.56群よりも有意に低く(p<0.001),Zero TBI sign群はTBI<0.56群よりも有意に低かった(p=0.020).TBI≧0.56群の死因には心血管疾患を認めなかったが,TBI<0.56群,Zero TBI sign群でその死因が4割を占めていた.HD患者においてTBIはABIおよびSPPより予後予測因子として有用であった.