著者
桑原 昌則 古野 貴志 西村 拓哉 吉本 光広 北岡 裕章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1342-1348, 2021-12-15 (Released:2022-12-18)
参考文献数
18

症例は54歳男性.役場の職員で,右視床ラクナ梗塞,脂質異常症,高尿酸血症などで近医通院中であった.昼休み中に突然,胸痛を訴えて,その場に倒れこみ心肺停止状態となった.すぐに同僚の職員がAEDを使用し心肺蘇生に成功した. 当院へ救急搬送時は意識レベル清明,血圧144/100 mmHg,脈拍数103/分であり,心電図,心エコー検査等より,急性心筋梗塞と診断した.緊急冠動脈造影検査を行ったところ,左冠動脈前下行枝#6に99%狭窄を認め,引き続き同部位に対して経皮的冠動脈形成術を施行した.当院搬送後は,術中術後とも心室細動を起こすことなく経過し,10日間の入院期間中も,致死的不整脈は起こさず,後遺症なく独歩退院した.バイスタンダーの一般市民による迅速なAED使用により,後遺症なく救命できた症例を経験したので報告する.