著者
中嶋 信美 西沢 徹 玉置 雅紀 青野 光子 久保 明弘 佐治 光
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.909, 2006

除草剤耐性遺伝子組換えセイヨウアブラナ(以下GMセイヨウアブラナ)の一般環境中での生育状態の把握を行うことを目的として、関東地方の幹線道路沿いや河川敷に生育しているセイヨウアブラナ(<I>Brassica napus L.</I>)やカラシナ(<I>Brassica juncea L.</I>)の種子を139地点から採取した。種子を閉鎖系温室で播種し、除草剤耐性試験と除草剤耐性遺伝子の存在を調べた。その結果、鹿嶋港の5 地点および国道51号線沿いの8地点からグリホサート(商品名:ラウンドアップ)耐性GMセイヨウアブラナが検出された。これらの個体よりDNAを抽出して、グリホサート耐性遺伝子の有無を確認したところ、1地点を除くすべての個体でグリホサート耐性遺伝子が確認できた。また、鹿嶋港の1地点、国道51号線沿いの2地点及び国道124号線の1地点でグルホシネート(商品名:バスタ)耐性GMセイヨウアブラナが検出された。これらの植物ではグルホシネート耐性遺伝子が1地点を除くすべての個体において確認できた。一方、上記以外の地点から採取した種子からは除草剤耐性個体は検出されなかった。以上の結果、鹿島港、国道51号線および国道124号線沿いにはGMセイヨウアブラナが生育していたと考えられ、それらは輸入した種子が輸送中にこぼれ落ちたことに由来すると考えられる。