著者
山崎 文之 西淵 いくの
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.188-197, 2020 (Released:2020-03-25)
参考文献数
39

本邦の膠芽腫の補助療法は, 放射線治療, テモゾロミド, ベバシズマブ, 交流電場腫瘍治療システムが挙げられる. 補助療法の標準治療は放射線60Gyとテモゾロミドの同時併用とそれに引き続いたテモゾロミドの維持療法で, オプションとして交流電場腫瘍治療システムが追加される. NCCNのガイドラインでは, 高齢者やKPS<60の状態が悪い患者では, 寡分割照射による放射線治療が推奨され, テモゾロミドによるDNAダメージを修復する酵素のMGMTのプロモーター領域がメチル化されている患者ではテモゾロミド単独治療も選択肢となる. ベバシズマブは脳浮腫を改善させるが生存期間延長効果はなく, 高血圧やタンパク尿, 血栓塞栓性合併症への対策と真に有効な患者の選別などが課題である. 新たな分子標的の発見と患者の層別化が期待される.