著者
宮里 賢 豊見山 麻未 名富 久義 城間 裕子 與那嶺 圭輔 西澤 万貴 馬渕 仁志 金城 譲 仲地 紀哉 島尻 博人 豊見山 良作
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.117-126, 2019-04-01 (Released:2019-04-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3 3

感染性肝囊胞は比較的稀な疾患とされているが画像診断の進歩により診断する機会が増加しており,当院では2009年から2018年の間に23例を経験した.今回は画像検査の所見と囊胞液の検査結果,治療経過について検討した.腹部超音波検査では22例に囊胞内のスラッジエコーを認め,腹部造影CT検査では5例に囊胞壁の造影効果を認めた.腹部MRI検査を14例に行い全例でT2強調画像での囊胞内部の信号低下を認め,拡散強調画像を追加した12例では囊胞内部や囊胞辺縁の拡散低下を認めた.囊胞液の培養は12例が陽性で血液培養も10例で陽性であり,起因菌はKlebsiella pneumoniaeが最多であった.治療は全例に抗菌薬投与と囊胞内容液の穿刺吸引または持続ドレナージを施行して11例は塩酸ミノサイクリンによる硬化療法を追加した.1例はドレナージにて改善が得られず外科手術に至ったが,最終的に全例が軽快退院した.
著者
宮里 賢 名富 久義 城間 裕子 與那嶺 圭輔 西澤 万貴 馬渕 仁志 金城 譲 仲地 紀哉 島尻 博人 豊見山 良作
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.2377-2386, 2018 (Released:2018-11-20)
参考文献数
17

【方法】内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)を施行した総胆管結石性胆管炎の症例で血液培養が採取されていた241例を対象に,菌血症の頻度や起因菌ならびに重症度との関連や菌血症群の特徴について検討した.【結果】対象群の35.2%が菌血症を合併した.菌血症の頻度は胆管炎の重症度に比例し重症例では65%に達した.起因菌はEscherichia ColiやKlebsiella属等のグラム陰性菌が多くを占め,起因菌の中に耐性菌の一種であるextended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌がみられた.菌血症合併例は非合併例と比較して,高齢で重症度が高く抗菌薬投与期間が長い結果となった.【結論】総胆管結石性胆管炎の重症例では菌血症を合併することが多く,速やかな胆道ドレナージと共に起因菌を想定した強力な抗菌薬治療が重要である.