- 著者
-
西片 裕
- 出版者
- 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.3, pp.215-229, 2019-12-31 (Released:2020-02-14)
- 参考文献数
- 43
本研究では,自律的動機づけの内在化を促す設計をした授業を実践し,効果を検証した.授業は,1)模擬患者に行う技能試験であるOSCE のルーブリックを学生が作成,2)ルーブリックを用いて学生が自主練習,3)OSCE の録画映像を見て学生が自己評価,4)教員のフィードバックであった.研究1では学生37名の自律的動機づけを授業前後に調査し,量的分析した.自律性が低い学生は,自律性の指標となるRAI が有意傾向であるが上昇し,同一化的調整が有意に上昇した.この授業は自律的動機づけを促す傾向があり,同一化的調整を促進することが示された.研究2では学生4名に半構造化面接を行い,小規模データに適用可能な質的分析手法のSCAT で分析した.同一化的調整を促進する要因は,1)学生が作成したルーブリックの見やすい提示,2)録画を見ての自己評価,3)教員のフィードバックであった.