著者
長濱 澄 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.291-300, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
16
被引用文献数
4

本研究では,オンライン学習環境を想定した映像コンテンツの高速提示と学習効果の関連性を明らかにすることを目的とした.1倍速,1.5倍速,2倍速の提示速度の異なる映像コンテンツを3種類作成し,大学生75名に提示した.作成した映像コンテンツは高等学校における情報科の宣言的知識を扱ったものであった.学習の前後に実施した理解度テストの得点から,学習効果を検証した.また,3種類の提示速度に対する主観評価を,質問紙を用いて調査した.理解度テストの分析結果から,提示速度の相違は,学習効果に影響を与えないということが明らかになった.一方,質問紙調査の結果から,映像コンテンツを利用した学習に適した提示速度として,1.5倍速が最も支持されているのに対し,2倍速に対する主観評価は肯定的ではないことが明らかになった.これらのことから,ある条件によっては,一定時間に,これまでの1.5倍から2倍の学習ができる可能性が示唆された.
著者
清原 一暁 中山 実 木村 博茂 清水 英夫 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.117-126, 2003
参考文献数
11
被引用文献数
9

本研究では,印刷物による提示とコンピュータ画面の提示による文章理解の違いを調べ,わかりやすい文章提示の方法を検討した.文章の理解度を内容に関するテスト成績で調べた.その結果,表示メディアについては,提示方法によらず印刷物がディスプレイに比べて良いことが分かった.また,LCDがCRTよりも理解度において優れていることが分かった.さらに,すべての表示メディアにおいて,明朝体と比べてゴシック体の方が文章理解において成績が良い事を明らかにした.
著者
木村 充 舘野 泰一 松井 彩子 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.105-115, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
46

本研究は,大学の経験学習型リーダーシップ教育における学生のリーダーシップ行動尺度を開発し,尺度の信頼性・妥当性を検討することを目的とする.経験学習型リーダーシップ教育とは,経験学習を理論的基盤として行われるリーダーシップ教育のことを指す.先行研究や予備調査に基づいて54の項目案を作成し,リーダーシップ教育を国内で大規模に実施しているA 大学の学生156名(Time1)および110名(Time2)を対象に調査を実施した.因子分析の結果,リーダーシップ行動は,「率先垂範」「挑戦」「目標共有」「目標管理」「成果志向支援」「対人志向支援」の6因子によって構成された.さらに,項目を精選し,30項目からなる尺度を作成した.開発した尺度の信頼性及び妥当性の検討を行った結果,概ね良好な値が得られた.
著者
杉山 昂平 森 玲奈 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41087, (Released:2018-03-08)
参考文献数
28

成人による趣味の追求をインフォーマルな学習環境はいかに支えるのだろうか.趣味における興味に着目してきた先行研究に対し,本研究の目的は「興味の深まり」という新たな概念を提案し,「成人の趣味活動において学習環境との関わりによっていかにして興味が深まるのか」を明らかにすることである.趣味活動の事例としてアマチュア・オーケストラを対象とし,オーケストラ団員15名に対して回顧的インタビュー調査を行った.分析の結果,興味の深まりには(1)音楽的な無自覚からの脱出,(2)上達・達成へのとらわれからアンサンブルへ,(3)参加すること自体の価値を見いだす,という3類型が存在し,それぞれの興味の深まりは(a)活動形態の異なる共同体への移動,(b)活動理念の異なる共同体への移動,(c)目標を焦点化する役割付与,という学習環境との関係性において生起することが明らかになった.
著者
山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42125, (Released:2018-12-28)
参考文献数
37

急速な社会の変化に対応する学習のあり方としてアクティブラーニングが注目を集めている.本論文ではアクティブラーニングの歴史をまとめ,用語について定義した上で,教育方法や日本への受容過程について考察した.また,この10年間に教育工学会論文誌に掲載されたアクティブラーニングに関する研究の動向をレビューし,授業・評価・環境・支援の4領域にわたる研究が行われていることが明らかになった.これら既存の研究の課題をもとにアクティブラーニングの今後の展望について述べた.
著者
藤本 徹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.351-361, 2015

近年,ゲームを取り入れた教育方法への関心は世界的に高まっており,教材としてゲームを利用するだけでなく,授業や学校カリキュラムなどの学習活動全般においてゲーム要素を取り入れた「教育のゲーミフィケーション」とも言える取り組みが見られるようになった.本研究では,大学の授業科目のデザインにゲーム要素を取り入れた「クエスト授業」の教育実践に3年間取り組んだ.実践結果から,課題への取り組みが活発になり,受講者が学習活動に参加する楽しさややる気の高まり,従来の授業とは異なる経験を認識していたことが確認された.
著者
森田 健宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.39-44, 1999-08-20
被引用文献数
4

幼児向け教育テレビ番組(NHK教育)をサンプルに, その中で用いられている映像技法2種(カット技法・ズーミング技法)の実態を明らかにした.その結果, カット技法については, 幼稚園教育要領の5領域のうち, 「表現」領域を主なねらいとした番組では, 同時カット技法が多く含まれ, 「環境」領域を主なねらいとした番組では, カット自体は少ないが継時カットの比率が高いことが明らかになった.また, ズーミング技法については, 「表現」領域の番組が最も多用されており, 秒間拡大率・縮小率も高い値を示していた.
著者
安斎 勇樹 青木 翔子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42073, (Released:2018-10-11)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究の目的は, 様々な領域でワークショップを行っている実践者(初心者~熟達者)を対象に, ファシリテーションにおいて認識されている困難さの実態について明らかにすることである. 152名を対象とした質問紙調査と16名を対象としたインタビュー調査の結果, ワークショップのファシリテーションの主な困難さは(1)動機付け・場の空気作り,(2)適切な説明・教示,(3)コミュニケーションの支援,(4)参加者の状態把握,(5)不測の事態への対応,(6)プログラムの調整, に類型化することができた. また, ワークショップの実践領域の違いによって困難さの傾向は異なること, また熟達するにつれて困難さは軽減されていくが, 初心者〜中堅には見えていなかった新たな困難さが認識されることが明らかになった.
著者
大浦 弘樹 池尻 良平 伏木田 稚子 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41085, (Released:2018-01-12)
参考文献数
48

一般の人々に大学の公開オンライン講座を提供するMOOC (Massive Open Online Course) が急速に拡大している.MOOCは講義動画を中心とした学習コンテンツで構成され,受講者は掲示板上で他の受講者と交流できるが,なかには講師による直接の指導や他の受講者との対面学習を希望する受講者もいる.本研究では,日本史がテーマの一般向けMOOCで,講師の指導のもと他の受講者と議論を通した対面学習を希望する受講者に対し,MOOCコンテンツを事前学習に位置づけ,グループ演習中心の対面学習と連動させた反転学習の実践データから反転学習の効果を評価した.具体的には,修了合否と知識の活用力としての歴史的思考力に対する反転学習の効果を,受講者属性やオンライン学習行動による効果も踏まえ,それぞれの効果の大きさを比較して検証した.その結果,修了合否に対しては反転学習の有意な効果は確認されず,動画視聴と掲示板活動の効果がより大きく,高齢者や非大卒の受講者に修了率がやや低い傾向が示唆された.一方,歴史的思考力に対しては本講座の修了者を対象に反転学習のより大きな効果が示され,動画視聴と掲示板活動の効果は小さく,年齢や学歴の効果も限定的であった.
著者
杉山 昂平 森 玲奈 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43058, (Released:2019-12-16)
参考文献数
31

人々が興味を深めるとき,ゆるやかな社会関係はいかに関与するのだろうか.本研究の目的は,興味追求としての趣味に着目し,強固な実践共同体に対比されるゆるやかな実践ネットワークが,趣味人の興味の深まりにいかに関与するのかを明らかにすることである.事例としてデジタル時代のアマチュア写真を取り上げ,アマチュア写真家14名に対してインタビュー調査を行った.その結果,興味の深まりに関与する実践ネットワークとして「刺激的な隣人」と「不特定の観衆」の存在が明らかになった.「刺激的な隣人」は自立的に興味を追求する多様な趣味人の姿を可視化し,「不特定の観衆」は作品に対してフィードバックを与え,それ自体が深い興味の対象になったり,興味を深めるさらなる行動を促したりする.こうした実践ネットワークはSNSによって形成されることもある一方,展覧会や撮り歩き会のような,趣味の世界における対面的な活動によっても形成されていた.
著者
中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.23-35, 1999-06-20
被引用文献数
12

近年の学習環境論において学習者自身が学習過程の再吟味を行うことの重要性が主張されている.本論文の目的は,学習過程を重要視する学習環境のデザインと,それが学習者にもたらす変容を明らかにすることである.研究方法としては,「エスノグラフィー(ethnography)」を採用する.より具体的には,ある学習環境における空間配置・学習材・ストラテジ- (strategy)の3つの学習活動を構成する「リソース(resource)」について考察を加える.それをふまえた上で,他者に対する学習過程の内省的認知活動である「語り(Narrative)」とそれらリソースとの関係を論じる.上記の認知活動は,研究対象の実践において特異に観察された.「語り」は,3つのリソースが「協調(coordination)」して構成される内省的な認知活動である.学習者にとっての「語り」の教育的効果は,学習そのものをどう定義するかという認識のレベル-「メタ学習観」の転換・変容に存在する.以上の議論をふまえ,学習活動支援の方法としての「語り」を概観し,「語り」を誘発する学習環境のデザインについて本稿からの示唆を述べる.
著者
山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.299-308, 2003-03-20
被引用文献数
13

本論文では,電子ネットワークで結ばれた専門家と学校の実践共同体に学習者がどのように参画するかについて,グラウンデッドセオリー・アプローチを参考にした質的な研究方法を用いて明らかにする研究を行った.その結果,学習者は電子ネットワークヘの親和性や科学観・学習観の相違,重なり領域の実践の特殊性などの要因によって,実践共同体へ多様な参加軌道を描くことが明らかになり,学習目標と実践共同体との対応・重なり領域の実践への援助・学習者の状況の把握という学習環境デザインヘの示唆が導出された.
著者
長濱 澄 菅野 弘朗 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.345-362, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
38

本研究では,オンライン学習を想定した映像コンテンツの高速提示において,学習スタイル別の情報処理プロセスと学習効果の関連性を明らかにすることを目的とした.FELDER の学習スタイル尺度によって分類されたVisual 群20名とVerbal 群20名に対し,講師映像,スライド,字幕から構成された映像コンテンツを1倍速と2倍速の提示条件で提示した.その結果,映像コンテンツの高速提示による認知負荷は,二重チャンネルモデルにおける聴覚チャンネルの情報処理量が増大したことによるものである可能性が示唆された.映像コンテンツの高速提示における教育実践上の配慮として,(1)F-ILS におけるVisual 型学習者のように,視覚チャンネルを中心に情報処理を行う学習者には,聴覚チャンネルにおける情報処理量が過度に大きくならない程度の再生速度で提示する,(2)F-ILS におけるVerbal 型学習者のように,聴覚チャンネルを中心に情報処理を行う学習者には,内容が簡略化された視覚テキストを提示することが挙げられる.
著者
廣松 ちあき 尾澤 重知
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.297-312, 2019-03-20 (Released:2019-03-25)
参考文献数
54

経験からの学びの深化には,内省が欠かせない.本研究は,組織業績達成の中核者として活躍しながらも,経験からの学びが十分とはいえない中堅社員を対象に,内省プロセスの把握を目的として半構造化インタビューを行いM-GTA によって分析した.その結果,その内省プロセスは,まず仕事の問題解決の経緯を振り返り,次いで他者からの働きかけにより,自己の内面的特徴を多角的に検討することが分かった.また,内面的特徴の吟味過程で,自分自身の仕事観・信念と,仕事上の理想状態が葛藤すると,問題の本質的課題を理解しながらも,課題解決に向けた行動に取り組めないことが分かった.さらに,中堅社員の業務環境や振り返りの捉え方が,内省を「問題解決の経緯の想起」にとどめ,内面的特徴を検討する「深い内省」を妨げている恐れがあることが分かった.最後に,中堅社員自身が行動変容に取り組むための,上司からのOJT による内省支援施策の重要性を考察した.
著者
魚崎 祐子 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.165-170, 2000-08-20
被引用文献数
11

テキストを読みながら学習者が自発的に下線をひく行為が文章理解に及ぼす影響を実験的に検討した.その際プロンプトという観点から, テキストによって予め与えられる下線強調と学習者自身がひく下線との効果の違いについて比較した.実験手順としては制限時間内のテキスト読解を行い, 直後と1週間後に再生テストを行った.その結果, 限られた時間の中で全体を把握するという点では下線をひくことの影響が見られず, テキストにつけられた下線は再生率を高めるがその効果は長く続くものではないということがわかった.また, 読解時間が長くなるにつれて下線部からの再生の割合が高くなっていくということが明らかになった.
著者
平野 智紀 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43034, (Released:2019-10-16)
参考文献数
25

本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.
著者
牧村 真帆 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.173-176, 2009
参考文献数
4

ワークショップのデザインプロセスのうち,初期段階のアイディアの生成過程における実践家の思考過程を明らかにすることを目的とし,6名の実践家を対象に,思考発話法と半構造化インタビューを用いて実験を行った.案の生成と下見時の空間体験との関係について分析を行った結果,新たな案が生まれる際に,空間がそのきっかけとなっていることが明らかになった.また,デザインプロセスにおいて既出の案が別の案へと展開される際にも,多くの場合空間に関する気づきや解釈がきっかけとなっていることがわかった.
著者
坂井 裕紀 藤本 徹 池尻 良平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43048, (Released:2019-10-31)
参考文献数
13

本研究では,世界の持続可能性を追求する地域人材育成をテーマとし,ゲーム要素を付与したプロジェクト学習が生徒の学習意欲とキャリアビジョンに及ぼす影響を検討した.高校1年男女256名を対象に授業実施前後において質問紙調査を行った結果,本授業を実施した群においては,授業実施前後で生徒の「学習意欲」および「キャリアビジョン」が有意に高いことが示された.これらのことから本授業のようなテーマにゲーム要素を付与したプロジェクト学習は生徒の学習意欲およびキャリアビジョンを高める可能性が示唆された.
著者
田口 真奈 後藤 崇志 毛利 隆夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.255-269, 2019-01-20 (Released:2019-02-02)
参考文献数
22

本研究では,京都大学において我が国で初めてグローバルMOOC を全面的に用いて反転授業を行った実践を2年間にわたって調査した.教員へのインタビュー調査と参与観察により,日本人学生を対象として実践された反転授業の授業デザインの特徴を明らかにした.さらに学習者へのインタビュー調査に基づく定性的手法による仮説生成と,MOOC の受講データと質問紙調査を組み合わせた定量的手法による仮説検証により,グローバルMOOC を活用した反転授業に学生がどのように取り組んだかを明らかにした.その結果,授業者が意図しなければ,学生は自発的には掲示板を利用しないこと,英語への抵抗感は反転授業やMOOC の成績と関連しないこと,講義ビデオ視聴や,課題への取り組みについては学生の個人差があることが明らかとなった.反転授業の成績との関連から「わかっているから内容をスキップする」というような視聴態度の学生は,そういった態度を持たない学生に比べて成績が低いという傾向が見られた.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43009, (Released:2019-08-23)
参考文献数
11

学習者が英語学習を自律的に行う際,学習者の個別ニーズに合わせた学習をデザインし,そのプランに沿って学習を進めていくのが効果的だと考えられる.本研究では,大学の授業において英語学習デザインの指導を行い,その指導が学習者のプランニングとその後の学習に及ぼす影響を明らかにすることを目的として調査を実施した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)学習デザイン指導により,学習者は個別ニーズに合った学習プランを作成できるようになった.(2)個別ニーズのうち,学習者の好みに合わせた学習プランを作成することが学習に対する動機づけに影響し,学習者の好みや学習環境に合わせた学習プランがプランの実行度に影響を与えることが示された.以上の結果から,英語自律学習のための学習者の個別ニーズに合わせた学習デザイン指導,特に学習者の好みを考慮したプランニングの重要性が示唆された.