著者
岩谷 周一 福島 晴夫 大隅 雅夫 田中 稔 平沢 敏昭 西田 保二 長町 幸雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2308-2312, 1989-11-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
11

1983年から1987年までの5年間に群馬大学第1外科に入院した消化管出血例243例についてHb, MCV, BUN, BUN/Cr,を疾患部位別に比較し,出血部位,出血量及び出血状況の推定の可能性を検討した.結果:貧血群のMCVの比較では大腸出血例で食道のそれに比べ有意に小さかった.BUNが20mg/dl以上の高値を示すものは大腸よりも上部消化管で有意に多く,貧血群のBUNは食道の場合が胃十二指腸及び大腸よりも有意に高値であった.BUN/Cr>30の症例は上部消化管の21%に対し,大腸で1.9%と少なかった.食道疾患ではHbとBUN/Crとの間で相関(相関係数r=-0.6)が認められた.まとめ:消化管出血時,BUN/Cr>30を呈する症例は出血が上部消化管由来である可能性が極めて高く,また,出血量の推定も可能であることが示唆された.