著者
西藤 成雄
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.267-274, 2008
被引用文献数
1

<B>背景</B> 幼児の呼気終末で喘鳴を確認するために,玩具を用いた小児の聴診手技の向上について検討を行った.<BR><B>調査方法</B> 風車,吹き上げボール(ボール),象さん吹き上げ糸(ゾウ)の3つの玩具を選び,呼吸音をソノグラフにより解析を行った.また Web ページにてそれら玩具のモニター医師を募集し,77名のアンケート回答が得られた.<BR><B>結果</B> ソノグラフでは,風車は吸呼気比は短くばらつきも最も大きかった.ボールは吸呼気比は最も長いが,ばらつきが大きい.ゾウは吸呼気比は吹き上げボールに及ばなかったが,ばらつきは最も小さい.アンケートでは,呼吸音と喘鳴の聴取においてゾウが最も高く評価された.ボールは取り扱いが難しく誤飲の指摘があった.<BR><B>考案</B> ソノグラフでは,ゾウが規則正しく呼気終末まで努力呼吸を繰り返していると考えられ,またアンケートの総合評価でも聴診の補助具としての評価が高い.本玩具を用いることで幼児でも呼気終末まで喘鳴の消失が確認しやすくなり,より確実に病状の把握ができることを期待する.