著者
筒井 智樹 西谷 忠師 坂中 伸也
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.141-151, 2010-04-01
参考文献数
14

本稿では体験学習教室の教材開発とその理念について述べる。秋田大学では物理探査に関連するテーマの体験学習教室を2000年度から2006年度にかけて複数回開催した。体験学習教室では教材の選定・設計が重要である。我々の体験教室では物理探査に関連する簡易測定器の組み立てキットをオリジナルで制作し,用意した。また,簡易測定器の組み立てキットの制作には十分な注意を払った設計と,複数回の試作による検討が必要である。特にプリント基板の設計は教材製作の中で重要であった。複数の組立キットを自らまとめることは,体験学習教室で指導するときの説得力にも大きく寄与していると思われる。体験学習教室に参加した子供たちの反応を見ると,自分の手でなにか動くものを作り出すことと,身の回りに興味を引く現象がたくさん存在することを知ることは,大いにかれらの好奇心を刺激するものである。また,体験学習教室の参加者募集にあたっては,種々の条件を勘案して小学校高学年ぐらいを対象とすることが適切であると考えられる。これまで実施してきた我々の体験学習教室ではどうしても機器の製作に重点がおかれてしまうきらいがあった。今後の機会があれば製作した機器を用いる測定の応用例も充実させて,より広い応用に目を向けさせる必要がある。