著者
西﨑 伸子
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.92, pp.43-54, 2017-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
26

2000年以降に大規模な開発事業がはじまったことで,エチオピア西南部にマスツーリストを受け入れる一大民族文化観光地が形成された。本稿は,この地域で民族文化観光が発展する背景を地域開発との関係から明らかにし,ホスト側社会がいかなるアクターとの関係性のなかでゲストを受け入れているのかを,ガイドの役割に焦点をあてて明らかにすることを目的とする。その結果,この地域で長く観光に関与してきた農牧民だけでなく,「他民族ガイド」や農耕民アリが新たに観光業に参入していること,一部の人々が観光資源の発掘や観光業に積極的にかかわり,一定の経済的利益を得ていること,ガイドの積極的な関与で,観光空間が拡大していることが明らかになった。今のところこの地域の人々は,農牧業を軸に,観光業をうまく副業にして生活していると考えられる。その一方で,国家による地域開発事業にともなう土地収奪によって,観光業だけでなく主生業に負の影響が出ることが危惧される。