著者
西﨑 賢治
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.135-161, 2018-04

習近平政権は, 反腐敗運動を展開し, 多数の政府要人が逮捕される事態となっている。彼らの多くが経済犯罪の嫌疑で摘発され, それらの資金の源泉には国有企業も含まれる。故に, 反腐敗運動の動きに対して, 国有企業の監査・監督主体である審計署監査の動きに変化があるか, 国有資産監督管理委員会と会計師事務所の動向と併せて検討した。その結果は, 国有企業の監査・監督について, 次第に強化され厳格化されているものの, 習政権で急展開したわけではなく, 胡錦濤政権末期からの動きが連続して現在に至っていることが確認された。国有企業の監査・監督の観点からは, 習政権は, 胡錦濤政権の方針を活かして動いているものと判断される。今後, 2期目を迎える習政権であるが, 当路線を継続するか, 新機軸を打ち出すかは, ここ最近の動向を注視する必要があるだろう。黒川行治教授退任記念号#論文挿表