著者
見村 万佐人
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、前年度までに研究した普遍格子(SL_M(II[x_1…x_k])、mは3以上、kは任意の自然数,の形の群のこと)の剛性を深化させて、さらに、曲面の写像類群(以下MCG)。自由群の外部自己同型群(外out(Fn))の研究へ応用した。普遍格子は高ランク(半単純)代数群の格子と同じく性質(T)ともつことがしられている。一方、MCGやOut(Fn)ではKazhdanの性質(T)をもつかどうか知られていない(MCGの方では、もたないというアナウンスがあった)、またFarb Masur(1998)やBridson-wade(2010)の定理により、高ランク格子からMCGないしOut(Fn)への群準同型は像が必ず有限になる。以上のことから、MCGやOut(Fn)は高ランク格子よりも"弱い剛性"をもつと考えられる。報告者は、普遍格子や斜交普遍格子(Sp2m(II[x_1,_,x_k]),mは2以上、kは任意の自然数の形の群のこと)における"性質(TT)'T"と呼んだ性質を導いた。この性質はKazhdanの性質(T)より真に強い性質であり、像型部分が自明表現をもたないようなユニタリ表現係数の2次の有界コホモロジーを用いて記述される。また、報告者は(TT)'Tをもつ可算群からMCG;Out(Fn)への群準同型が必ず有限の像をもつことを示した。これによりFarb-Masur,Bridson-wadeの定理の(斜交)普遍格子への拡張を証明した。また1次元コホモロジーの消滅を(斜交)普遍格子においてβ-シャッテンクラスへの等長表現係数の場合に得た。