著者
原 陽子 仲村 美輝 角 典以子 石井 亘 飯塚 亮二
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.45-54, 2019-12

重症外傷では,迅速な初期診療を行うことが患者の予後を左右する.初療室での処置・治療だけでなく,外科的治療を要する場合は迅速および的確に行うことが求められる. 当院は併設型の救命救急センターで,手術室は10 室,手術症例数は年間約7,000 件である.初療室での手術治療は「人,物,場所」の確保が難しい環境のため,主に重症外傷手術は手術室で行っている.しかし,手術を要する重症外傷患者の初療室搬入から手術室入室までの所要時間は,2012 年までは平均で90 分以上かかっていた.2013 年より,重症外傷手術を短時間で開始するため,重症外傷手術に必要な物品・資機材が準備された部屋を夜間帯・休日に一室作成し運用した(ダメージコントロール手ルーム:DCS ルーム).運用後,初療室搬入から手術室入室までの所要時間は平均で約30 分に短縮した. DCS ルーム運用により,重症外傷患者を迅速に的確に安全に受け入れ,医師や手術室看護師が安全な治療を提供できる有用な取り組みであった.