著者
角 隆司 越川 陽介 中井 美彩子
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.33-43, 2020-03-15

本稿は心理援助職の個人的成長に関する先行研究を概観し、心理援助職が経験すべき訓練を検討すること、訓練に関するSD合宿の意義について考察を行うものである。心理援助職の成長についての先行研究から、個人的自己と職業的自己の統合が求められること、職業的発達には個人的・専門的領域での対人的経験が影響することなどが論じられている。また、個人的自己の成長に関しては、日本人は特に他者との繋がりの中で感じられる成長感が存在することが指摘され、グループ体験や教育カウンセリングなど体験学習を通じた訓練において自己理解や他者理解、他者との関係の変容が重要視されている。しかし、心理援助職の個人的成長という観点からそれらを検討した研究は本邦において見られず、訓練のあり方を再検討することの必要性が示唆された。そこで、これまでの職業発達に関する研究および合宿体験により得られた知見から、心理援助職の個人的成長を「Self-Development」と定義し、訓練の一方法として筆者らが実施してきたSD合宿についての意義について、体験を自己選択することによる自己理解の促進、成長の最接近領域に即した学び、対人的経験、グループの構造の観点から考察した。