著者
山川 紘希 鈴木 渉太 建山 和代 諏訪 由利香 垂井 由季
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

目的:近年、日本に住む在留外国人や日本を訪れる訪日外国人が増加傾向にある。さくら薬局京都駅前店(当薬局)には、立地的に多数の訪日外国人が訪れているが、外国語対応の可能なスタッフは常駐していない。そのため、薬剤師と外国人患者間で問題が生じている。外国人患者が安心して薬を使用できるように、昨年に引き続き、より円滑なコミュニケーションを行うための方法を検討し、評価を得た。方法:2019/5/1-9/30までの期間、研究者:鈴木渉太氏が考案したOMOTENASHI (英語、中国語、韓国語、スペイン語、日本語+イラストを併記したツール) アプリ版を導入したタブレット端末を、受付及び投薬窓口において使用した。担当した店舗スタッフに、アプリ使用の有無での患者対応の違いについてアンケート調査を実施した。結果:OMOTENASHIアプリを導入したタブレットの使用により、視覚的に外国人患者に説明内容を伝えることが可能となった。また、対応可能な言語を5ヵ国語に拡張したことで、以前よりも様々な言語の患者に対応することができた。そして、紙媒体からアプリに改良したことで、印刷物の管理に関する手間を軽減することができた。しかし、複数の医薬品が処方された場合には該当する資料を探すのに時間を要し、店舗スタッフへアプリの操作方法を説明するのに時間を要したことから、まだ改善の余地は残されている。考察:薬局において日本語に不慣れな外国人患者へ服薬指導することは、健康被害のリスクを上昇させる危険性が伴う。OMOTENASHIアプリを使用することで、紙で説明を行っていた時よりもより円滑な対応が可能となった。また、使用した店舗スタッフの不安を訴える意見が軽減していたことから、業務負担軽減に繋がる可能性が示唆された。今後は、コミュニケーション力をより向上させる説明ツールの作成が課題である。