著者
謝 暁晨
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

今年度は上記の課題名にて以下の成果を上げました1)アンカリング構造転移の成長過程を詳細に調べ、結晶成長とのアナロジーから、成長の次元性を検討した。2)昨年に続き、電気メモリーデバイスに応用するために、電場下でアンカリング構造転移の挙動を主に明らかにした。主な着眼点は下の二点になります。①アンカリング構造転移において双安定領域におきまして水平配向と垂直配向とを電場で非可逆的にスイッチングさせることができたことを踏まえ、使用する液晶の使用温度を室温まで低め、実用デバイスとしての利用を検討している。②アンカリング構造転移が起こる際の熱挙動や界面センシティブな超微小角X線回折実験結果からメカニズムの詳細を検討し、転移前後における界面の分子配向変化を明らかにした。その一方で、アンカリング転移の際における液晶分子の空間分布について未解明であったため、2光子偏光蛍光共焦点顕微鏡を立ち上げ、分子配向の可視化を試みた。得られた空間分子配向プロフィールはモデルとほぼ一致した。今後は、非線形光学効果を用いた顕微分光による界面の状態を、より詳細にプローブする予定である。