著者
譚 娟
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.1-21, 2015-08-25

「満洲国」成立前,中国東北の女子教育は省ごとに異なっていた。吉林省は男女同等の教育を実施していたが,奉天省は男女を区別する教育を実施しており,女子に対して家事教育を行っていた。「満洲国」成立後,「満洲国」政府による教育制度に対する改編につれて,省ごとに異なっていた女子教育が統一され,吉林省でも男女を区別する教育が行われ始めた。「満洲国」初期の中国人女子教育においては,家事教育の比重が大きかった。そこには,女子教育を家事教育化しつつ,女子の役割を専ら家庭内に位置づける「満洲国」政府の考え方が窺える。また,女子学校の教育には女学生の愛国意識の養成という愛国教育の側面もあった。