著者
谷 鉄兵 瀬野 悟史 花満 雅一 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1053-1060, 2008-08-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【背景】レーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術は,保存的治療のみでは症状を充分改善し得ないアレルギー性鼻炎に対する外科的治療として広く行われている.レーザーによる手術は鼻粘膜表面を焼灼するが,近年鼻粘膜上皮には影響を与えずに粘膜下を焼灼する高周波手術装置(ENTECコブレーター2サージェリーシステム^[○!R],以下コブレーション)を利用した下鼻甲介手術が報告されている.【方法】対象は,当科にて平成16年11月から平成19年5月までにコブレーションを用いて下鼻甲介粘膜焼灼術を行った29例(男性17例,女性12例,平均年齢37歳)で,手術前後のくしゃみ・鼻汁・鼻閉・日常生活支障度の症状スコアの検討を行い,レーザー手術50例(男性27例,女性23例,平均年齢25例)の術後成績と比較検討した.【結果】手術1ヵ月後の治療成績には差が認められないが,1年後にはレーザー手術では症状が再燃することが多いのに対してコブレーション手術では高い症状改善率(くしゃみ65%,鼻汁71%,鼻閉76%)が維持され,2年後にも同様の良好な成績が得られた.【結果】アレルギー性鼻炎に対してコブレーションによる下鼻甲介粘膜焼灼術により良好な長期成績を得ることができた.