- 著者
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駒田 亜衣
谷口 水穂
中井 晴美
梅澤 眞樹子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.62, pp.253, 2010
<B>【目的】</B>三重県西部の伊賀地域で営まれている秋まつりの調査から、この地域の発酵の文化について特徴を明らかにすることを目的とした。<BR><BR><B>【結果】</B>伊賀地域には3つの街道が通っており、その街道沿いには現在、140を超える神社が登録されている。本研究で調査を行った中に、春日神社の「なすびまつり」、佐々神社の「このしろまつり」、菅原神社の「上野天神祭」、大村神社の「秋の例祭」などの特徴的なまつりが存在することが分かり、この中でも「このしろまつり」「上野天神祭」からこの地域の発酵の文化を見出すことができた。「このしろまつり」はこのしろ(コハダ)と飯を樽に漬けこんで発酵させてなれ寿司にし、神饌として供える文化がある。さらに、このしろと一緒に漬けこんだ飯も「アイサノメシ」という名称で神饌とする特徴があることが分かった。「上野天神祭」は別名「甘酒まつり」とも言われ、甘酒を見物客や招待客にふるまうほか、神饌としても供える特徴がある。甘酒は「だんご鉢」と呼ばれる底に擂鉢状の溝が施された陶器製の鉢を用いて作られ、まつりに招待する「呼び使い」のためには欠かせないものであり、以前は各家庭で作られていたことが調査で明らかになった。<BR><BR><B>【考察】</B>伊賀地域のまつりにおいて神饌として供える酒はすべて地酒であり、さらになれ寿司や甘酒といった米を発酵させてつくる神饌も加わり、これらはまつりに欠かせないものとして現在まで受け継がれていることが分かった。伊賀地域は古来より米どころとして知られており、良質な米が収穫されること、また紀伊山脈と伊賀盆地に位置することとで山麓からの清水が豊富であったこと、また奈良や京都と隣接していることから、こうした発酵の文化が発達したと考えられた。