著者
谷川 昌司 福島 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.2215-2222, 1993-10-25
被引用文献数
8

ネオコグニトロンはパターン認識能力をもった階層型の神経回路モデルである.ネオコグニトロンの中間層にはさまざまな種類の部分特徴を抽出する細胞(特徴抽出細胞)が存在している.特徴抽出細胞は可変入力結合をもっており,特徴抽出細胞の結合荷重は抽出する特徴の種類ごとに異なる.この結合荷重は,教師なし学習法によって決められ,ある標準的なパターンが刺激として与えられたときに,細胞が最大出力を出すように調節される.この標準的なパターンからどの程度変形した特徴までを同じ特徴であるとみなすかの度合(特徴選択性)は,特徴抽出細胞のしきい値によって調節することができる.本論文では,ネオコグニトロンの中間層において,特徴選択性を定めるしきい値が認識率にどのような影響を与えるかを調べる.そして,従来のネオコグニトロンでは学習段階のしきい値と認識段階のしきい値を同一にしていたが,認識段階のしきい値を学習段階のしきい値よりも小さく設定することによって,認識率を大きく向上できることを明らかにする.