著者
谷水 長丸 里見 昭 米川 浩伸 高橋 浩司 酒井 正人 池田 理恵 檜 顕成
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.51-56, 2005-01-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
7

小児の消化管出血はほとんどが下血として現れる。とくに食道静脈瘤に対して予防的処置を行うようになってからは, 吐血をほとんど経験していない。一方下血症例は年々増加傾向にある。とくに重要なのは緊急処置を要し, 生命予後不良な下血疾患を速やかに鑑別し対処することである。1974年から現在までの30年間に当科に入院した下血疾患症例605例を検討し, それぞれの疾患の特徴, 下血の頻度, 性差, 好発年齢, 診断法, 処置について検討する。6o5例を検討したところ, 年齢は生後0日から15歳まで平均3.55歳で男女比は1.7: 1.0だった。このうち緊急処置を要したのは腸重積, 腸回転異常症, 絞扼性イレウス, 消化管穿孔, NEC, Meckel憩室, UC, AGML, 急性虫垂炎に合併した腹膜炎DIC, 胃ポリペクトミー後出血だった。腸回転異常症の中腸軸捻転とNECで死亡例を認めた。