著者
深井 喜代子 黒田 裕子 山下 裕美 池田 理恵
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.193-197, 2001-08-25

看護行為によって発生する音を実験室で再現し, それを聴いた被験者がどのような生体反応を示すのかを検討した.承諾の得られた健康な女性被験 : 者10名に, 「タオルを絞る音」「看護者の足音」「聴診器の音」「椅子を床に置く音」「椅子を引きずる音」「ドアノックの音」「吸引音」「ブラインドの開閉音」の8種類を聴かせ, 心電図, 血圧, 局所発汗量を連続記録した.その結果, 背景音であるチャイムの音では局所発汗量はほとんど変化しなかったが, 6種類の音で5例以上に発汗増加反応を認めた.また, 6種類の音で最高血圧が有意に上昇した.さらに8種類すべての音に対する一過性の交感神経活性の高まりが全例で確認された.これらの結果から, 看護行為によって生じる音は生体に一過性のストレス様反応を引き起こすことが明らかになった.
著者
谷水 長丸 里見 昭 米川 浩伸 高橋 浩司 酒井 正人 池田 理恵 檜 顕成
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.51-56, 2005-01-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
7

小児の消化管出血はほとんどが下血として現れる。とくに食道静脈瘤に対して予防的処置を行うようになってからは, 吐血をほとんど経験していない。一方下血症例は年々増加傾向にある。とくに重要なのは緊急処置を要し, 生命予後不良な下血疾患を速やかに鑑別し対処することである。1974年から現在までの30年間に当科に入院した下血疾患症例605例を検討し, それぞれの疾患の特徴, 下血の頻度, 性差, 好発年齢, 診断法, 処置について検討する。6o5例を検討したところ, 年齢は生後0日から15歳まで平均3.55歳で男女比は1.7: 1.0だった。このうち緊急処置を要したのは腸重積, 腸回転異常症, 絞扼性イレウス, 消化管穿孔, NEC, Meckel憩室, UC, AGML, 急性虫垂炎に合併した腹膜炎DIC, 胃ポリペクトミー後出血だった。腸回転異常症の中腸軸捻転とNECで死亡例を認めた。
著者
靍久士 保利 金田 聡 飯田 明彦 内藤 哲也 池田 理恵 中澤 保子 若林 由紀子 山崎 明 山本 俊文
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.183-187, 2021 (Released:2022-01-25)
参考文献数
7

症例は2カ月男児.腸回転異常症・中腸軸捻転で,回盲部は残存するが残存小腸が30cmの短腸症候群となった.馴化期に入った後も,連日10回以上の排便,夜間に2~3時間ごとの排便があった.患児は体重増加が停滞し,頻便によるおむつ皮膚炎が増悪した.また,家人も頻回のおむつ交換で睡眠時間が確保できず,QOLが低下したため,以下の栄養管理の工夫を行った.①グァーガム分解物(partially hydrolyzed guar gum;以下,PHGGと略)の投与,②経管栄養剤や投与方法の検討,③五苓散の使用である.今回これらの3つの工夫を含めて5期に分類し,排便回数および夜間排便回数を比較検討したところ,probioticsとPHGGの併用,成分栄養剤とPHGGの混合液の持続投与に五苓散,離乳食を併用することで便性の改善と良好な体重増加が得られた.特に夜間排便回数が減少したことは,患児・家人のQOL改善につながったと考えられた.