著者
豊住 頼一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.47-68, 1985-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
44

The author presented a new concept in the development of the phonatory organ of vertebrates. This concept was based on his own studies and other works in comparative anatomy. The evolution of the phonatory organ is developed from the same trunk from lung fish to reptile in the evolutionary tree, and divides into two branches. One branch is the route from reptile to bird, the other branch is the route from reptile to mammal. In the first branch, the lower part of the trachea just attached to the air sac develops to create the syrinx in the bird and is called the air-bladder system. In the second branch, the upper part of the trachea developed into a preventive mechanism for aspiration, forming the vocal fold, and is called the larynx system.
著者
豊住 頼一 宮崎 俊巳 平野 実 光増 高夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.594-607, 1997-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

喉頭筋の系統進化は原始喉頭筋のM. taryngei ventralis et dorsalisから直接進化すると伝統的に言われてきた. しかし, 私達が観察したウシガエル, スッポン, 白色レグホンの検索では, 私達はそれと同じ種類の筋を観察できなかつた. むしろ, それらの筋とは異なる筋を観察した. したがつて, 私達の検索の結果は肺魚と哺乳類との間に, 喉頭筋の直接進化は存在しないことを示唆している. 研究方法と結論前記三種類の動物の生体から喉頭を摘出した後, 双眼顕微鏡下に外喉頭筋以外の喉頭筋を比較観察した. 結果は次のようであつた.a. 原始型 (肺魚類, 初期両生類型)Mm. laryngeus ventralis et dorsalis and Mm. sphincter laryngis (from Goeppert; fixer of the glottis)b. 移行型 (両生類, 爬虫類, 鳥類型)fan shaped laryngeal mescles (fixer of the glottis)c. 哺乳類型M. intrinsic laryngeal muscles (closer of the glottis)したがつて, 喉頭筋の進化は原始型から移行型を経て哺乳類へ進化発達することが結論された. つまり, 原始型から哺乳類への直接進化はあり得ないことが確認された.
著者
豊住 頼一 平野 実
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.24-46, 1998-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

両生類, 爬虫類, 鳥類の頭頸部が一括して生体から摘出された後, 口腔底が直ぐ双眼顕微鏡下に比較観察された, 結果は次ぎのように3部に要約された.1. 研究動物の口腔底での舌骨と喉頭軟骨の位置私達は研究動物の鰓弓軟骨が口腔底をどのように形成するか観察した, 結果は次ぎのように要約された.1) 研究動物のすべてにおいて口腔底は舌骨と喉頭軟骨および鰓弓軟骨が水平に結合した状態で構築されていた.2) したがつて, すべての観察動物では, 咽頭腔と咽頭筋は哺乳動物の咽喉頭部との比較上から存在しないと推測された.また, 哺乳動物では口腔底の鰓弓軟骨は退化し, 舌骨と喉頭軟骨は頸部へ下降することが推測された.3) 当然, 哺乳類の咽頭腔と咽頭筋は喉頭下降に伴つて進化したことが推測された.4) 以上の観察所見から, 両生類, 爬虫類, 鳥類の嚥下機能は哺乳類と異なる方法で行われることが推測された.2. 両生類, 爬虫類, 鳥類における咽頭筋の存否と嚥下機能1) 観察動物の口腔底は鰓弓軟骨と舌骨および喉頭軟骨より構築され, 哺乳類で観察されるような口腔部と食道部との間に存在する咽頭腔と咽頭筋は存在しなかつた.2) 観察動物では哺乳類に見られるような咽頭腔は存在せず, 喉頭-食道腔のみである. その理由は口腔に喉頭が未だ存在するからである. 喉頭の輪状軟骨後面には哺乳類と同じように食道起始筋が観察されるが, 喉頭-食道領域の腔背側には哺乳類の咽頭筋に相当する筋組織は認めなかつた.3) 観察動物の嚥下機能はそれぞれの動物で特徴的であることが推測された.3. 哺乳類における喉頭下降1) 喉頭下降は直立歩行への進化の過程の付随現象である.2) 喉頭下降は舌筋の発達を促進し, 喉頭腔と咽頭筋を進化させる.3) 喉頭下降は鳥類の喉頭軟骨 (鰓弓軟骨) の集合型から哺乳類の喉頭軟骨 (鯉弓軟骨) の分離型への進化によつて促進される.4) 上記, 分離進.
著者
豊住 頼一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.29-37, 1979-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

On the basis of anatomical investigations in some selected mammals and of the report by Negus and other investigations, the author discussed olfaction, respiration and degluatition from a evolutional point of view. These functions were related to anatomy and physiology of the larynx in various spacies. Relation between olfactory function and location of the epiglottis, changes in pattern of deglutition according to the descent of the larynx, and relation between respiration and deglutition are of special interest when one looks at the comprehensive mechanism of olfaction, respiration and deglutition.