著者
貫名 真澄 河原 英紀
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.256-260, 2003-05-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
8

発話時には,唇の開口面積が変動すると共に唇や鼻孔以外からも音が放射される。しかし,音声を収録する場合にそれらがどのような影響を与えているかについては,ほとんど報告されていない。本報告では,発話された音声を測定用の信号としてクロススペクトル法を用いて頭部周辺での伝達特性を測定した。また,音声を音源として用いた場合のクロススペクトル法の測定精度について,ダミーヘッドとM系列信号を用いた測定により検証すると共に,実測されたデータの信頼幅を併せて求めた。男女各2名が5母音を発話している状態で測定した結果は,同一測定位置での母音間の伝達特性に,信頼幅を大きく超える系統的な差異が存在していることを示した。