著者
赤塚 美樹
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.851-857, 2019-12-20 (Released:2020-01-10)
参考文献数
42

キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor,CAR)-T細胞療法は遺伝子改変T細胞による養子免疫療法の一つであり,急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫,慢性リンパ性白血病などのB細胞性腫瘍や多発性骨髄腫に対する新規治療法として近年非常に注目されている.CD19抗原を標的としたCAR-T細胞による国際共同第2相試験において,難治性B細胞性腫瘍に対して高率な寛解導入効果が示された.CAR-T細胞は短期間で調製でき,T細胞が持つT細胞受容体より高い親和性をもった抗体を抗原受容体として利用したことが成功に寄与した.また抗体を抗原受容体とすることでT細胞のHLA拘束性を考慮する必要がない.CARの構造は細胞外ドメインとし抗体のFab部分と,細胞内ドメインとしてT細胞のシグナルドメインから成る.T細胞の活性化や機能増強,体内での長期生存能を付与するために細胞内ドメインにはさまざまな工夫が施されてきた.ただし治療後にサイトカイン放出症候群などの重篤な副作用が高頻度に起こりうる他,長期的には一部に再発も認められ,今後解決すべき課題も残されている.
著者
中尾 眞二 赤塚 美樹
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

再生不良性貧血(AA)症例におけるHLA-Aアレル欠失血球陽性例の頻度を明らかにするため、抗HLA-Aアレル特異的抗体による検出感度を改良し、診断後間もない例を検索したところ、21症例中6例(28.6%)が陽性であり、欠失血球の全顆粒球中の割合は3.9% - 61.1%(中央値8.4%)と、既治療よりも低比率であった。一方、HLA-Aアレル欠失血球陽性AA患者の末梢血CD8陽性細胞を、HLA-B*40:02遺伝子導入K562 陽性細胞で刺激することにより、HLA-B*40:02導入K562のみを特異的に傷害する細胞傷害性T細胞(CTL)クローン(A6)を樹立した。