著者
赤嶺 由美子
出版者
琉球大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は,UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A4の遺伝子多型がラモトリギン体内動態に与える影響を明らかにし,副作用発現予測を可能とすることを目標に,以下を遂行した。はじめに,本研究ではラモトリギン服用患者を対象として,本剤と主代謝物であるN2-グルクロン酸抱合体の体内動態解析を行うため,その体内動態同時測定法の開発を行った。臨床現場でよりルーチン業務に適した高速液体クロマトグラフィーを使用し,高感度に検出を行うために最適な分析カラム,使用溶媒を決定した。また,短時間での作業を可能とするため,血漿からの抽出方法はフィルトレーションシステムを利用した直接ろ過法とカラムスイッチングを組み合わせる方法とした。これにより,迅速,簡便,かつ高感度にラモトリギンと主代謝物の同時測定を行うことが可能となった。次に,琉球大学医学部附属病院薬剤部所有の全自動遺伝子解析機器を用いて,UGT1A4の遺伝子変異検出系の構築を行った。Qprobe法を用いて,酵素活性低下を示すと考えられている142T>G変異を有するUGT1A4*3の検出系を確立した。現在,これら測定法・遺伝子変異検出系を使用して,被験者のラモトリギン体内動態をUGT1A4遺伝子多型別に比較し,副作用発現との関係を解析中である。また,本研究の成果は今年度(平成24年度)の第22回臨床精神薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会においてポスター発表する予定である。さらに,英文原著論文投稿に向けても現在準備中である。