- 著者
-
赤座 達也
- 出版者
- 日本組織適合性学会
- 雑誌
- 日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.18-22, 1998 (Released:2017-03-31)
- 参考文献数
- 2
ある集団のHLA遺伝子頻度をだすためには, ランダムで, 血縁関係のない健常人の集団を必要とし, また, 実施されたHLAのタイピングの水準が同一であることが求められる. この条件に該当するのが, 共通の抗血清を使用して, 大量の検体のHLAタイピングデータが集められる組織適合性ワークショップ(HWS)である. HLA遺伝子頻度はその時にダイビングできるHLA型により微妙に異なってくる, また頻度の信頼性は計算に用いた集団の大きさにかかっている. HLAタイピングは, 臨床的には疾患感受性, 親子鑑定などにも使われているが, 現在では, 移植ペアの適合性を決めるために, もっとも多く用いられていると思われる. 特に骨髄バンクのためのタイピングは, 世界的規模で膨大な数が行われている. 国際的にHLA型の適合したドナーを見つけるために設立された, 骨髄提供ドナーのHLA型を登録する機構である, BMDW(Bone Marrow World Wide)に登録されているHLA型タイピング済みドナーは478万人を越えており, データはインターネットで見ることができる. 日本も本年の4月よりデータを提供することになった. このホームページの中の, HLA型適合の検索は契約者でないと見られないが, 各骨髄バンクの登録者数と登録されているHLA-A,B,DRの遺伝子頻度は誰でも見ることができる. 各骨髄バンクごとのデータなので, 民族別には整理されてはいないが, 2座, 3座のハプロタイプ頻度もバンクによっては公開されている. これらの情報からある程度のHLA型適合の予測は可能であるし, さらにハプロタイプ頻度とバンクの規模から, 計算によって適合率の計算が可能である. この稿では, 日本人のHLA頻度を過去の資料を参照しながら振り返るとともに, 信頼性について検討したものをまとめた.