著者
山本 敏充 斎藤 成也 徳永 勝士 布施 昇男 (長崎 正朗) 河合 洋介 カラセド アンジェル
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スペインのコリア・デル・リオ市内及び周辺に住んでいる約800名の「ハポン」姓を名乗る人々のうち、DNA解析希望者男性50名、女性51名から血液試料を採取した。スペインでDNA抽出され、匿名化後、日本で、男性DNA試料について、Y染色体上のSTRsのハプロタイプ解析を行った。また、全てのDNA試料について、ジャポニカ・アレイと呼ばれる日本人に特化された約66万個のゲノムワイドなSNPs解析を行った。その結果、日本人に由来すると考えられるY-STRハプロタイプは観察されず、また、ゲノムワイドなSNP解析からも日本人に由来すると考えられる結果が得られなかった。今後、新しい手法による解析が期待される。
著者
十字 猛夫 朴 京淑 金 相仁 朴 明姫 竹内 二士夫 徳永 勝士 PARK Myong Hee KIM Sang In PARK Kyoung Sook
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

大韓民国ソウル市に在住する30家系,家族員計150名より血液試料を得て,HLAーA,B,C,DR,DQ型,及びHLAに連鎖する補体成分C4,B因子(BF)のアロタイプを検査した。なお、各家族には,少なくとも3人の子供がいることを条件とした。この結果から両親集団におけるMHC(主要組織適合性複合体)ハプロタイプ計120本を決定した。なお,これは韓国人のHLA分布に関する最初の大規模な家系調査である。この結果より,韓国人における代表的なMHCハプロタイプを求め,さらに,すでに我々が行なってきた日本人や北部中国人での結果と比較した。その概要は以下のようにまとめられる。1)韓国人で見出されたMHCハプロタイプは,我々が以前に調査した日本人や北部中国人で見出されたMHCハプロタイプと基本的に類似しており,ヨ-ロッパ人で報告されているMHCハプロタイプとは全く異なる。2)しかしながら,より詳細に見ればこれら東アジアの諸集団の間にも有意な差が認められる。すなわち,日本人・韓国人・北部中国人におけるMHCハプロタイプの頻度分布を比較すると,日本人と北部中国人の関係が最も遠く,韓国人は両者の中間に位置し,やや日本人により近い特徴をもつことが明らかとなった。3)以下,具体例をあげる。まず,韓国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1は8%の頻度で見出された。このMHCハプロタイプは日本人でも2番目に多いハプロタイプであるが,中国人ではまれなものであった。このように,日本人と韓国人で共に頻度が高い一方,中国人ではまれなMHCハプロタイプとしては,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1や,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDRw8ーDQw1,あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などが見出された。4)日本人で最も多いことが知られているMHCハプロタイプ,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4BQOーDR2ーDQw1は韓国人でも比較的高い頻度で見出された。我々はこのMHCハプロタイプを北部中国人でも高い頻度で見出している。このように,3集団に共通して見出されたMHCハプロタイプとしては,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDR9ーDQw3があるが,このハプロタイプの場合には,日本人と韓国人でやや頻度が低くなっていた。5)上記3)と対照的に,北部中国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw30ーCw6ーB13ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2は韓国人でも4%以上の頻度で見出されたが,このハプロタイプは日本人ではごくまれなものである。6)以上のような結果より,我々は東アジア諸集団におけるMHCハプロタイプの分布状況から組先集団の複数の移動,拡散ル-トを推定した。まず第一に中国地方から朝鮮半島を経由して北九州および本州中央部に至るル-トである。これは,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4B1ーDR2ーDQw1を持つ集団で代表される。7)第2に朝鮮半島から日本海を越えて,本州中央部の日本海側に至る移住ル-トである。これには,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1や,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などを持つ先組集団が含まれていたと考えられる。8)第3に,中国北部から南下し,朝鮮半島にもやって来たが,日本列島には殆ど到達しなかったグル-プがあったものと考えられる。このグル-プが持っていたMHCハプロタイプが,Aw30ーCw6ーB13ーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2であったと考えられる。以上のように,家系調査に基づくMHCハプロタイプの分布調査は,互いに近縁な集団間の遺伝的関係を探るために,極めて有力なマ-カ-となることが分かった。
著者
徳永 勝士
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.7_72-7_75, 2014-07-01 (Released:2014-11-07)
参考文献数
4
著者
徳永 勝士
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.882-886, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
2

人類遺伝学あるいはゲノム医学分野においては,医学研究のみならずゲノム医療の発展のためにも,疾患遺伝子変異のデータ共有の重要性が高まっている。日本人類遺伝学会は,独自の簡易データベースを備えたオープンアクセスジャーナル「Human Genome Variation」を2014年から出版している。その構想から創刊まで,さらに現状と今後の課題を述べる。
著者
宮川 卓 徳永 勝士 豊田 裕美
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ナルコレプシーを対象としたゲノムワイドメチル化解析を実施した。さらにそのデータとナルコレプシーのゲノムワイド関連解析を統合した解析を行い、ナルコレプシーの新規感受性遺伝子としてCCR3遺伝子を同定した。平成29年度から特発性過眠症の研究も開始した。特発性過眠症は長時間にわたる睡眠エピソードが出現し、日中に強い眠気を感じ、総睡眠時間が11時間以上となる特に重症な中枢性過眠症である。その病態及び原因が解明されていないため、治療法が確立しておらず、対症療法に用いられる薬剤は副作用が多いことが問題となっている。そこで、特発性過眠症の遺伝要因を探索するために、ゲノムワイド関連解析を実施した。ゲノムワイド有意な一塩基多型(SNP)は同定されなかったが、疾患関連候補SNPを抽出した。平成28年度までの研究で、ナルコレプシーと真性過眠症を含む中枢性過眠症のゲノムワイド関連解析によりCRAT遺伝子の近傍のSNP(rs10988217)が真性過眠症とゲノムワイドレベルで有意な関連を示すことを見出している。発現解析及びメタボローム解析の結果を統合的に解析した結果、rs10988217遺伝子型は血中スクシニルカルニチン濃度ともゲノムワイドレベルで有意な関連を示すことがわかった。上記のようなSNPだけでなく、頻度の低い変異も睡眠障害に関わる可能性が高いと考えている。平成28年度までに、PER2遺伝子上に頻度が低く、アミノ酸置換を伴う疾患関連の候補変異(p.Val1205Met)を見出している。そこで、実際に睡眠障害と関連するか検討した結果、当該変異が睡眠相後退症候群及び特発性過眠症と有意な関連を示すことを見出した。
著者
井上 貴央 海藤 俊行 川久保 善智 徳永 勝士 篠田 謙一 椋田 崇生
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.古代人の脳の微細形態解析弥生時代人および江戸時代人の脳組織の一部を細切し、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、脳組織のミエリン鞘が三次元的なネットワークをなしているのが確認できた。現代人の脳ではこのようなネットワークの観察ができていないが、古代人の脳では、ネットワーク以外の構造物が融解していた結果による。古代人の脳の残存例は、比較的分解されにくいミエリンを構成するリポ蛋白質の残存によることが明らかになった。2.山陰の古代人の形質人類学的研究これまでに収集された山陰地方の古代人骨についてデータベースを作製し、青谷上寺地遺跡など一部の人骨資料については接合・保存処理作業を行い、写真撮影、計測を行った。山陰地方の弥生時代人・古墳時代人、江戸時代人について顔面平坦度の計測を行い、東日本の古人骨と比較検討した。さらに、岡山県彦崎貝塚遺跡の縄文人骨の形態学的解析を行った。その結果、渡来系弥生人の範疇に入る山陰地方の弥生人の中には、縄文的な色彩を残している個体があることが判明し、北部九州の渡来系弥生人とは異なった形質をもつものがあることが明らかになった。また、青谷上寺地遺跡の弥生人は、北部九州の渡来系弥生人より韓国の礼安里古墳人に近いことが統計解析によって明らかになった。3.脳と骨組織のDNAの抽出古人骨のミトコンドリアDNA抽出を試みたところ、古墳時代の骨からは検出できなかったが、弥生時代の資料では、30点中9点からDNAを抽出することができ、Dループの塩基配列を決定することができた。そのハプロタイプはD4型が多かったが、Fも存在し、当初考えていたように単一な集団ではなく、ある程度多様な遺伝子配列を持つ集団であることが明らかになった。歯牙からのDNAの抽出も試み、さらに数体分からのDNAデータが得られたが、人骨の所見とは異なっていた。コンタミネーションの可能性を含め、慎重に分析を行う必要があるものと思われる。江戸時代の脳組織からは21点中8点からDNAの抽出に成功し、ハプロタイプを決定した。弥生時代の脳からはDNAの抽出はできなかった。また、核のDNA抽出はできなかった。
著者
片山 一道 徳永 勝士 南川 雅男 口蔵 幸雄 関 雄二 小田 寛貴 上原 真人 清水 芳裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

南太平洋に住む人びとの祖先集団であり、ポリネシア人が生まれる直接の祖先となった先史ラピタ人の実態を解明するため、生物人類学、先史人類学、考古学、生態人類学、人類遺伝学、年代測定学、地球科学などの研究手法で多角的な研究を進めた。トンガ諸島のハアパイ・グループ、サモアのサワイイ島、フィジーのモツリキ島などで現地調査を実施して、それぞれの分野に関係する基礎資料類を収集するとともに、それらのデータ類を分析する作業を鋭意、前進させた。それと同時に、ラピタ人からポリネシア人が生まれる頃にくり広げられた南太平洋での古代の航海活動を検証すべく、ポリネシアから南アメリカの沿岸部に散らばる博物館資料を点検する調査を実施した。特記すべき研究成果は以下のごとくである。まずは、フィジーのモツリキ島にあるラピタ遺跡を発掘調査して古人骨(マナと命名)を発見し、フィジー政府の許可を得て日本に借り出し、形質人類学と分析考古学の方法で徹底的に解析することにより、古代ラピタ人の復顔模型を作成するに成功したことである。マナの骨格、ことに頭蓋骨は非常に良好な状態で遺残しており、これまでに発見されたラピタ人骨では唯一、詳細な復顔分析が可能な貴重な資料であったため、世界に先がけて古代ラピタ人の顔だちを解明することができた。それによって彼らがアジア人の特徴を有するとともに、併せて、現代のポリネシア人に相似する特徴も有することを実証できた。そのほか、一般にポリネシア人は非常に足が大きく、世界でも最大の大足グループであることを証明し、その性質がラピタ人の頃に芽生えたらしいことを推論できたこと、さらに、サモアのサワイイ島で考古学の発掘調査を実現できたこと、トンガ諸島で古代の漁労活動を類推する資料類を収集するとともに、現代人の遺伝的な関係を分析する血液試料を採集できたことなども大きな成果である。とりわけ世界で最初に復顔したラピタ人の等身模型は国内外に発信できる本研究の最大の研究実績であろう。
著者
徳永 勝士
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.87-95, 2014 (Released:2014-08-11)
参考文献数
4

最高度の遺伝的多型性を示すHLA遺伝子群は,輸血・移植領域にとどまらず,人類進化,親子鑑定・個人識別,疾患感受性,薬剤過敏症など幅広い分野で有効に活用されている。ここでは,日本人を含むアジア系集団の起源と形成,ナルコレプシー,B型肝炎関連疾患などへの感受性と抵抗性,Stevens-Johnson症候群などを例に取り上げ,我々の経験を中心に紹介する。
著者
米村 滋人 水野 紀子 武藤 香織 磯部 哲 徳永 勝士 田代 志門 奥田 純一郎 中山 茂樹 佐藤 雄一郎 猪瀬 貴道
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度分の研究活動(2018年4月~2020年3月)の実績の概要は以下の通り。当年度は、まず、総合調整班において全体的な研究計画と調査項目・検討課題を決定した。具体的には、先行研究課題である科研費・基盤研究(A)(課題番号24243017)の研究成果として、米村編『生命科学と法の近未来』(信山社、2018)が公表されているため、これを素材に国内外の関連研究者・専門家等からの意見と課題提示を受けた上で、総合調整班において検討を行った。その結果、現在の日本では臨床研究法をめぐる法運用が多大な混乱を惹起しており、医学界からは臨床研究全体が抑制されているとの指摘も見られるため、臨床研究法の法規制のあり方を検討することが適切と考えられ、海外法制度調査もその観点を中心に行う方針とした。以上をもとに、一般的実体要件班・一般的手続要件班において、国内の法学・生命倫理学・医学関係者に臨床研究法の問題点や改善の方向性等につき意見聴取を行うほか、海外の文献調査や国外の機関に対する訪問調査を行う方針とした。国内調査に関しては、各研究分担者の調査内容を研究会の場で共有したほか、永井良三・自治医科大学長や藤井眞一郎・理化学研究所生命医科学研究センターチームリーダーなど医学研究者の意見を直接聴取した。また、ドイツの臨床研究規制については、ヨッヘン・タウピッツ教授を始めマンハイム大学医事法研究所のスタッフに調査を依頼しており、その中間報告を数度にわたり聴取したほか、フランスの臨床研究規制についても文献調査の形で調査を進め、2019年3月に研究分担者・磯部哲と研究協力者・河嶋春菜の助力によりフランス渡航調査を実施した。特殊研究規制検討班においては、研究分担者・徳永勝士を中心に、国内研究機関や海外研究機関・研究者に対するヒアリング調査を行う形でゲノム研究や再生医療研究の規制状況の調査を行った。
著者
中野 浩美 川井 信太郎 柏瀬 貢一 小川 篤子 石川 善英 徳永 勝士 赤座 達也 十字 猛夫 山根 明男
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.205-212, 1997 (Released:2017-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

我々はHLAの多検体のルーチン検査に適したDNAタイピング法として, Polymerase Chain Reaction-based Microtiter Plate Hybridization(PCR-MPH)法を用い, HLA-DRB1やDQB1遺伝子のタイピング法をすでに確立した. 今回, 従来の血清学的方法ではダイビングが困難なHLA-A2, A26およびB61遺伝子のアリルタイピングをPCR-MPH法で検討した. それぞれのグループに特異的なプライマーを用いてPCRを行い, A2は日本人に報告されている5種類のアリル(A* 0201, * 0203, * 0206, * 0207, * 0210)を10プローブが固定されたマイクロタイタープレートを用いてタイピングした. 同様にA26は3種類(A* 2601, * 2602, * 2603)を5プローブで, B61は4種類(B* 4002, * 4003, * 4004, * 4006)を6プローブでタイピングした. 本法を用いてアリルタイピングを行った結果, PCR-SSO法などの結果と一致した. 本法はPCRが約3時間, MPHが約2時間の計5時間で終了する. さらに今回報告したHLA-A2, A26およびB61遺伝子タイピングのMPH操作は, HLA-DRB1やDQB1のタイピングと同じ条件なので, これら全てのタイピングを同時に行うことができる.
著者
高橋 孝喜 桑田 昇治 徳永 勝士
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

1991年秋に行われた国際組織適合性ワークショップのデータに関して、特に地域差、民族差の観点から解析した。また1992年9月には、シベリアバイカル湖畔のブリアート族におけるHLA調査も行った。これらの結果に加え、昨年までの成果を考え合わせると、東アジアにおいていくつかの特徴的なHLAハプロタイプが異なる分布パターンをとっていることが示された。このような複数のパターンが見られることの解釈として、東アジアにおける民族移動が単純なものでなく、いくつかの異なる先祖集団が異なる時代に異なったルートを経て移住拡散してきた可能性が高いと考えられる。特に日本人の起源と形成過程に関しては、モンゴル周辺や朝鮮半島付近に源を発する民族の影響が主体を成し一部には中国南方の集団からの影響もあったものと推定された。1)B52-DR2を高頻度にもつ集団が中国北方より朝鮮半島を経て北九州や近畿地方に移住してきた。2)B44-DR13で特徴付けられる集団が、朝鮮半島付近より北陸地方などの日本海沿岸に到った。3)B54-DR4を持つ集団は、中国南部に発して、南西諸島や九州四国、本州の太平洋岸に達した。4)B46-DR8をもつ集団はその遠祖が中国南部にあり、朝鮮半島経由かあるいは直接に北九州に到達した可能性が考えられる。今後もより広範かつ詳細な調査を進めて、以上の仮説を検証する必要がある。
著者
蕪城 俊克 澤村 裕正 馬淵 昭彦 田中 理恵 徳永 勝士 寺尾 安生 花島 律子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

眼瞼痙攣患者584人からDNAサンプルを収集した。臨床データの解析が終了した331症例(男性:95例、女性:236例、63.0±12.9歳)の臨床病型の内訳は、本態性眼瞼痙攣238例、薬剤性眼瞼痙攣90例、症候性3例であった。そのうちの191サンプルを用いて、正常人コントロール419例を対象としてDNAマイクロアレイ(Axiom Genome-Wide ASI 1 Array Plate)によるゲノムワイド関連解析を施行した。眼瞼痙攣患者と正常人の間のアレル頻度の比較で、差が大きかった(P<10^-6)疾患感受性の候補領域が数十箇所絞り込まれた。残ったサンプルについても解析を継続する。
著者
林 奉権 徳永 勝士 中地 敬 小川 貴彦
出版者
公益財団法人放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

原爆被爆者の胃がん(腸型とびまん型)、大腸がん(近位結腸がんと遠位結直腸がん)および乳がんについて放射線関連がん発生に対する遺伝的背景の影響を調べた結果、IL10遺伝子型が放射線に関連するびまん型胃がんの発生に関係するかもしれないこと、CD14とIL18遺伝子型が放射線関連遠位結直腸がんと近位結腸がんの発生、ATM遺伝子型が放射線関連乳がん発生に関連する可能性を見出した。また、原爆被爆者の血液細胞内活性酸素(ROS)レベルに対する年齢と放射線被曝の影響を調べた結果、特にCD8+ T細胞の活性酸素レベルが年齢と被曝線量により増加しIL6R遺伝子型によって有意に異なることを見出した。
著者
菅野 純夫 羽田 明 三木 哲郎 徳永 勝士 新川 詔夫 前田 忠計 成富 研二 三輪 史朗 福嶋 義光 林 健志 濱口 秀夫 五條堀 孝 笹月 健彦 矢崎 義雄
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

日本学術振興会未来開拓研究事業(平成16年度終了)、文部科学省特定領域研究「応用ゲノム」(平成16度-平成21年度)と合同で、国際シンポジウム「ゲノム科学による疾患の解明-ゲノム科学の明日の医学へのインパクト」及び市民講座「ゲノム科学と社会」を平成18年1月17日-1月21日に行なった。国際シンポジウムの発表者は未来開拓5人、本特定領域6人、応用ゲノム3人、海外招待講演者9人であった。市民講座は、科学者側6名に対し、国際基督教大学の村上陽一郎氏に一般講演をお願いし、最後にパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ550人であった。また、文部科学省特定領域「ゲノム」4領域(統合、医科学、生物学、情報科学、平成16年度終了)合同の一般向け研究成果公開シンポジウム「ゲノムは何をどのように決めているのか?-生命システムの理解へ向けて-」を平成18年1月28,29日に行なった。本シンポジウムの構成は、セッション1:ゲノムから細胞システム(司会:高木利久)講演4題、セッション2:ゲノムから高次機能(司会:菅野純夫)講演6題、セッション3:ゲノムから人間、ヒトへの道(司会:小笠原直毅)講演7題を行い、さらに、小原雄治統合ゲノム代表の司会の下、門脇孝、小笠原直毅、漆原秀子、藤山秋佐夫、高木利久、加藤和人の各班員、各代表をパネリストとしてパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ700人であった。また、本領域の最終的な報告書を作製した。